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 放射線治療の一種「粒子線治療」では昨春、保険診療の対象に肝臓がんなど患者数の多いがんが新たに追加されました。がんにピンポイントで照射することで効果が高く、副作用の少ない治療が受けられるようになっています。(安藤奈々)

病巣に集中し照射

 がん細胞のDNAを傷つけて攻撃する放射線治療は、手術、薬物療法とともに3大治療の一つです。粒子線治療には「陽子線」と「炭素イオン線(重粒子線)」を使うものがあります。一定の深さでエネルギーを最大にできるため、周囲の正常な臓器へのダメージを抑えつつ、病巣に集中照射できます。高齢者も受けやすいとされます。

 照射中に体が動かないよう、体形にあった固定具を特注で作ります。複数回の治療が必要で、時間は1回15~30分程度です。

 粒子線治療は2016年以降、小児がんや前立腺がんなどで公的医療保険が適用されました。それ以外のがんは先進医療の治療で、約300万円必要でした。

 22年4月、従来のエックス線による治療と比較して生存率が高まるなどの効果が確認された、肝細胞がん、肝内胆管がん、 膵臓すいぞう がん、大腸がん、子宮 けい 部腺がん(重粒子線のみ)が追加されました。手術が難しい場合に限られ、腫瘍の大きさなどの条件があります。年齢や所得によりますが、高額療養費制度での自己負担額は8万~17万円程度で、診察や検査費用も必要です。

 茨城県の自営業男性(59)は、21年11月に肝臓がんと診断されました。腫瘍が5センチと大きく、肝機能が低かったため、手術やラジオ波による 焼灼しょうしゃく 療法は難しいとされました。

 粒子線治療は経済的負担が心配で踏み切れませんでしたが、昨春、肝臓がんが保険に追加されて同県の筑波大病院を受診しました。22年5月から約2週間にわたって通院し、計10回の陽子線治療を受けました。腫瘍は縮小し肝機能も改善しました。照射部分の炎症は数週間で治まりました。

 肝臓がんは再発率が高く、男性も同11月に再発しましたが、今回は焼灼療法が使える見込みです。「保険のおかげで希望の治療を受けられた」と話します。

 同病院陽子線治療センター部長の桜井英幸さんは「陽子線治療でがんを縮小できたので、次の治療に取り組める。選択肢は広がっている」としています。

全国に25施設だけ

 ただ、粒子線治療ができるのは全国に25施設と限られています。

 エックス線による放射線治療装置に磁気共鳴画像(MRI)を組み合わせた「MRリニアック」という新たな機器を導入する医療機関もあります。

 照射範囲はこれまでコンピューター断層撮影法(CT)で事前に決めていましたが、新装置はMRIを用いて、腫瘍の位置を確認しながら高精度で照射できます。呼吸や消化管の動きによるずれなどにも対応しやすくなりました。この方法でも正常な臓器への影響を抑えられるといいます。

 国立がん研究センター中央病院(東京)や千葉大学病院などで使用されています。同病院放射線科長で、日本放射線腫瘍学会理事長の宇野隆さんは「高度で新しい技術が開発され、放射線治療は効果を上げています」と話しています。

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