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「がん」はお金がかかる病気です。継続的な治療や再発のリスクを考えると、やはり定期収入があると安心でしょう。とはいえ、治療の不安で自ら離職したり、周囲の無理解で仕事を続けられないケースも少なくありません。ここでは、がん治療と仕事の両立のほか、公的制度を最大限活用する方法を紹介します。本連載は、ファイナンシャルプランナーの辻本 由香氏の著書『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)から一部を抜粋・編集したものです。
有給取得以外の選択肢も…就業規則を要確認
筆者は患者・家族(遺族)の経験とお金の専門家(ファイナンシャルプランナー)であることから、がん患者やご家族から仕事とお金の相談を受けています。いろいろお話を聞いていて思うのは、ほとんどの人が病気になるまで就業規則を気にしたことがないということ。がんになったと会社に告げて初めて、使える制度があることを知るようです。
病気になって会社を休むとき、思い浮かぶのは有給休暇でしょう。勤務年数によりますが、長く勤めていると、1年間に取得できる有給休暇は20日間。前年の繰り越しがフルの20日であったとすると、20日プラス20日の40日間取得できます。
がんの治療は入院日数が減る一方、放射線や抗がん剤など通院での治療がしばらく続きます。土日や夜間に通院できることは稀(まれ)で、多くの方が平日仕事を休んで治療を続けている状態です。また、手術や治療による体力の低下は想像以上。会社にいきたい気持ちはあっても、カラダがだるく休まざるを得ない日もあります。有給休暇が40日あったとしても、それだけでは足りない可能性も十分考えられるのです。
前立腺のがんがわかった信二さん(仮名58歳)。手術をするか放射線治療をおこなうか迷っています。手術を選ぶと、後遺症の尿失禁が心配です。放射線治療を選ぶと、一般的に、1日1回、週5回で7~8週間前後の通院が必要です。有給休暇を使い切ってしまうことが心配でした。
有給休暇を全部消化してしまうと、翌年に繰り越せる有給休暇はゼロです。「来年は新たに20日間の有給休暇がもらえるから大丈夫!」。そう思っていても、有給休暇は所定労働日の8割以上出勤することでもらえる権利。1年の出勤日数が250日だとすると、おおよそ200日は出勤しないと翌年度の有給休暇は取得できない計算に。
そこで、信二さんに就業規則の確認をお願いしました。一般的な有給休暇とは別に、半日単位や時間単位の有給休暇があるかどうか。失効した有給休暇を積み立てて、病気などで長期療養する場合に使えるようにした「失効年休積立制度」がないか調べてもらったのです。
すると、時間単位の有給休暇は無理だが、半日単位なら利用可能であること。信二さんは有給休暇を使い切っても、まだ20日間の失効年休を利用できること。短時間勤務や、始業時刻を繰り上げたり繰り下げたりできる時差出勤もでき、通院や副作用との影響を調整しながら働くことも可能だと総務部から説明を受けました。
そのほか、会社を辞めずに治療を続ける方法として、永年勤続のリフレッシュ休暇を利用したり、パソコンが使える環境なら在宅勤務をしたりできる場合もあります。
(※画像はイメージです/PIXTA)
これで治療の選択肢が増えたと大喜びの信二さん。会社に問い合わせたことで、今後の働き方についても相談できたとホッとしていました。
筆者は医療者ではないので、治療に関する助言はできません。心配事や不安な気持ちをうかがい、できる工夫はないかを一緒に考える。マラソンの伴走者のような役割だと思っています。
会社独自の上乗せ給付「傷病手当金付加金」とは?
また、病気やケガで療養中の生活費を保障するための「傷病手当金」にも、会社独自の「傷病手当金付加金」や「延長傷病手当金付加金」が支給される場合があります。
「傷病手当金付加金」は金額のプラス、「延長傷病手当金付加金」は日数のプラスです。最長で3年程度まで支給している会社もあります。
ただし、就業規則には3ヵ月など休職期間が定められている場合があります。「最長1年6ヵ月は会社を休める!」と思っていても、休職期間満了までに復職できないと「自然退職」となることもあります。就業規則を見るときは、休職の規定にもしっかり目を通しておいてください。
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