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千葉県成田市、住宅街の幹線道路沿いにあるリリーベルクリニック。高級ホテルを思わせる全室個室をはじめ、分娩室に移動することなく陣痛からお産、回復までを一つの部屋で過ごせるLDRを3室、お産パッドや部屋着、アメニティをまとめた手ぶら出産セットの提供など、妊婦さんの安心感にこだわった設備やサービスを備えています。

院長の有田白峰先生、太田寛先生にクリニックの特徴や、これからの地域医療についてお話を伺いました。





医師もシステムも一新、新たなスタートへ

――――2021年8月、東海地区を中心に19*の産婦人科クリニックを運営する「ベルネット」のグループクリニックとなり、クリニック名称もリリーベルクリニックになりました。変化はありましたか。
*2023年1月現在

太田:正直なところ、私も有田先生もリリーベルになってからこちらに勤務しているので、過去の先生たちの診療を知っているわけではないんです。

地域のみなさんは、旧松岸レディスクリニックが名前を変えただけのようなイメージを持っているかもしれませんが、私たち医師も総入れ替えになっていますし、電子カルテや予約システムなども含めて、ベルネットの一員となったことで全てが変わっています。

もちろん継続して受診していただいている患者さんのカルテは引き継いでいて、継続して診療を行なっています。以前から通われている患者さんには安心感を持っていただきつつ、以前は行なっていなかった治療を開始するなど、新しい取り組みも行なっています。

――――なるほど、ベルネットとの連携でメリットを実感できることはありましたか?

有田:例えば、成田市にお住まいの方が東海地方や関西地方で出産されるなどのケースでしょうか。里帰り出産の場合、健診を受けていた妊婦さんが他院で出産するときは、必要な情報を書き込んだ数枚の紹介状で引き継ぐことが多いのですが、同じベルネットなら共通のカルテですから、里帰り先のクリニックでも妊婦健診の経過のすべてがわかります。そこまでお産に大きな影響はありませんが、妊婦さんも安心できるでしょうし、そういったメリットはあるかもしれません。

無痛分娩や切迫早産の通院治療など、お産にもできるだけ多くの選択肢を。

――――リリーベルクリニックの特徴を教えてください。

有田:お産を快適なものにするための設備やサービス、選択肢をできるだけ多くすることを考えていることです。当院は一流ホテルのような高級感のある内装で、分娩のための医療機器を備えた個室「LDR」も広くてきれいなことなど、妊婦さんが気持ちよくお産できるような設備を備えています。入院するときは診察券や保険証、母子手帳など、最低限の荷物で済むように、赤ちゃんのお着替えや退院用のベビー服、おくるみやガーゼなども、こちらでご用意しています。




陣痛から分娩までを一部屋で過ごせる「LDR室」




広々とした個室

医療の中身としては、妊婦さんのご希望に沿った選択が可能となるよう、様々な治療法を積極的に取り入れています。中には日本の他の施設ではあまりやっていない治療も選択肢として提供しています。

4つほど例を挙げます。

1:最近希望者が増えている無痛分娩を積極的に行っています。分娩は痛くて辛いものですが、麻酔で痛みを緩和することで、疲労を軽減し、産後の体力の回復にが速やかになることが期待できます。

2:過去に帝王切開で出産された経験がある方は、第二子も帝王切開というのが一般的ですが、当院では妊婦さんのご希望に合わせて、経腟分娩へのトライも行なうことができます。

3:赤ちゃんが逆子の場合の分娩は帝王切開になりますが、外から赤ちゃんをグルッと回転させて逆子を治し、経腟分娩がトライできるようにする「外回転術」も行なっています。

4:切迫早産になったときは長期入院が必要になることがあります。それを避けるために、子宮頸管ペッサリーという器具を装着して、入院期間の短縮や外来通院が可能になる治療を、行っています。なお、この頸管ペッサリーによる治療は、ベルネットグループ全体で取り入れています。

これらの治療は、医師の技術が重要なものもありますし、日本の病院やクリニックですと、初めから選択肢として提示されないことも多いです。

もちろん、すべての方が望んだ処置の適応になるというわけではなく、安全に赤ちゃんが生まれてくることを大前提としたうえで判断しますが、妊婦さんが望む分娩の形を極力提供できるように努力しています。

――――妊婦さんや患者さんの属性など、成田市ならではの特徴はありますか?





有田:クリニックのある公津の杜地区は、成田市の住宅街なんですが、近隣にお住まいの方だけではなく、お隣の八街市や佐倉市、香取市、茨城県など、広範囲にわたって周辺地域の妊婦さんが当院を選んでくださっています。近隣の分娩施設がないエリアをカバーする役割も担っていると思います。

成田という地域柄、特徴的なのは、空港関連の会社に勤務されている方がいらっしゃることでしょうか。また、様々な他国籍の人の割合も多いと感じます。

成田市には成田赤十字病院や国際医療福祉大学、成田富里徳洲会病院など、高次医療機関が充実しており、よい関係を保ちながら医療連携を行っています。手術などの治療の必要な婦人科患者さんを適切に紹介して、術後落ち着いたら、また当院で気軽に定期検診を行ったり、妊娠中に病気が見つかった妊婦さんを紹介して、軽快したら当院に戻られてお産をしたり、分娩後に具合の悪くなった妊婦さんや赤ちゃんを救急搬送して、落ち着いたら当院に戻って赤ちゃんの世話を練習したり、ということもあります。




妊婦さんがリラックスできる「レディスルーム」

お産を安全で快適なものに。そして地域の女性の健康を支えるクリニックへ。

――――これからどんな医療を提供していきたいですか?

有田:安全かつ快適なお産を提供することが最も重大な使命であると考えています。出産というのは人生においてとても重大で幸せなできごとですが、医療の現場にいると、赤ちゃんがひとり、安全に元気に生まれてくるということは本当に奇跡だと感じます。

だから、お産が無事終わると本当にほっとします。産婦さんとそのご家族の方々が「いいお産だったなぁ」と思い出に残るように、職員一同サポートできる場でありたいと思います。





太田:地域の女性のヘルスケアを充実させたいと思っています。小学生から老年期の女性まで、あらゆる年齢層の女性の健康をサポートできる診療と治療を始めています。

当院は地元ではお産のクリニックというイメージがあるのですが、生理痛やPMS(月経前症候群)、避妊、更年期障害など、女性特有のさまざまな女性の悩みにも応えていけるクリニックに変えていきたいと思っています。

例えば、小中学生で生理痛がひどい人の診断や治療も行っています。もちろん、性交経験のない方に内診をしたりすることはありません。ところが、産婦人科では内診が必ず必要と思い込んで受診せずにいて、治療できる機会を逃している人がたくさんいるのが現状です。しかし、問診などだけでも、生理痛やPMSの診断や治療を行うことはできます。同意もなく痛みを伴うような診察を行うことはありませんので、心配せず、まずは受診してみてください。診察した結果として、内診や経腟エコーが必要と判断した場合には、ほかの方法との利点と欠点を提示して、納得してもらった上で検査をします。現在では、薬も進化していて、たくさんの選択肢があります。小中学生の生理痛を放置することは、これからの人生にとって大きなハンデを負わせることになります。

また、当院はミレーナ(黄体ホルモン放出システム:IUS)も取り扱っています。この器具を子宮内に挿入することで子宮内膜が薄くなって生理痛や過多月経がなくなり、避妊にもなります。近隣で取り扱っている施設が少ないのもあってか、ミレーナ希望で当院に来院される患者さんが多い印象です。

疾患の予防として、各種ワクチンの接種も推奨しています。HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)、麻疹風疹ワクチン、帯状疱疹ワクチン、新型コロナワクチン、季節性インフルエンザワクチンなどを取り扱っています。在庫があれば、当日でも接種することができます。

どんな病気であっても、病気になってから治療するよりも、病気にならないように予防する方が有利です。また、すべての病気に治療薬や治療法があるわけではありません。例えば、麻疹(はしか)は1000人に一人以上が死亡するような怖い病気ですが、治療薬がありません。ワクチンの効果がとても高いために治療する薬があったとしても、それを使う機会がないので、薬の開発は行われていないのです。予防できる病気は予防しましょう。

有田:高齢の女性に多い「骨盤臓器脱」の治療も始めています。骨盤臓器脱というのは、出産などで骨盤底筋群という筋肉群が緩むことで、膀胱や子宮などの臓器が下垂して腟から出てしまう病気のことをいいます。出産経験のある女性に多く、尿もれの原因にもなるのですが、治療できること自体があまり知られていません。ペッサリーを装着することで、その日のうちに違和感を軽減できます。人知れず悩みを抱えている方が治療にアクセスできるようになるといいなと思います。




クリニックに来た人を迎える、開放的なロビー

――――最後に、患者さんや妊婦さん、ご家族へのメッセージをお願いします。

有田:お産は妊婦さんだけではなく、ご家族にとって重大なライフイベントです。これからもできるだけ楽しく快適なものになるように、全室個室や手ぶら出産など、ご負担が少なく、安心してお産ができるような工夫を続けていこうと思います。

生理痛や過多月経、更年期障害などがあるのに、婦人科にくるのは大変と思っている方も少なくないと思います。だからこそ、来院された方が、つらかった症状が治った、病気が早くわかって良かった、検査の結果深刻な病気じゃなくて安心した、など「リリーベルクリニックに来てよかった」と思っていただけるようなクリニックを目指して、スタッフ一同これからも頑張っていきたいと思います。

太田:当院は標準的な医療をやっています。ガイドラインに沿った「安全で最良の」医療を提供しています。日本は国民皆保険制度を持っており、全国どこでも、標準的な治療を安価で受けられる珍しい国です。しかし、産婦人科の病院が減っていることもあって、誰もが標準的な医療を受けられるとは限らないのが現状です。

妊娠や出産に関してだけではなく、生理痛や更年期障害、不正出血など、少しでも気になることがあれば気軽に受診してください。困ったこと、心配なことを解決できるようにがんばっています。

リリーベルクリニック

■住所:千葉県成田市公津の杜3-43-1
■電話番号:0476-27-0303
■診療時間:




診療時間
9:00-12:00
15:00-17:00

■休診:土曜日午後、日曜日、祝日
■HP:https://www.lilybells.jp/
■アクセス
・京成本線「公津の杜」駅から徒歩7分
・駐車場完備

(取材・文:VARYTEX)



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