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人生 最期に食べてほしい~アイスがもたらす幸せな時間~



「ガリガリ」っとかじって食べる、おなじみのアイスキャンディー。

実は、人生の最期を迎えようとしている人たちにとって、とても大切な食べ物だということをご存じでしたか?

「食事が難しい終末期の患者にとって、救いの神がこれ」

ある医師が投稿したこんなツイートをきっかけに、愛する家族との「最期の食事」の思い出についてシェアしようという動きが、いま、広がってます。


実は、ぴったりの食べ物

ツイートを投稿したのは、都内の病院の医師、廣橋猛さんです。

日本緩和医療学会が認定する専門医で、がん患者を中心に4000人を超える患者の最期に携わってきました。

今回のツイート、ある入院患者とのやり取りがきっかけだったそうです。

永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長 廣橋猛さん
食事ができず、点滴生活の患者さんが「何か食べさせてほしい」とおっしゃるので、家族に「ガリガリ君」をすすめてみたんです。小さく砕いて口に入れてあげるとこれまでにないような笑顔を見せてくれました。この感動を残したいと思ってツイートしました。

廣橋さんによると、終末期を迎えた患者は食欲がなくなり、味もわかりにくくなっていて、冷たくてさっぱり、そのうえ、味がしっかりしているものを好むそうです。

そして、アイスキャンディーは口に含むと少しずつ溶けていく。水なら、むせてしまう人でも少しずつなら飲み込めるので、ぴったりの食べ物だということです。

廣橋猛さん
氷をなめても笑顔にはなりませんが、アイスキャンディーだと笑顔で食べる人が多いんです。食べられなくなると家族も悲しみますが、一口でも食べると喜んでくれる。患者さんだけでなく、家族や私たち医療関係者にとっても“救いの神”なんです。

表彰までされていた!

「人生最期の食べ物」として大切な存在になっていたアイスキャンディー。

メーカーに話を聴いてみると、家族を亡くした人から「最期に食べさせてあげられた」と感謝の手紙などが会社に寄せられることはよくあるそうです。

さらに、意外な事実も分かりました。

3年前、廣橋さんが所属する日本緩和医療学会の学術大会で、このアイスが表彰されていたのです。

受賞したのは「最優秀緩和ケア食の維持賞」。

表彰状には「緩和ケアを受ける患者さんの食の維持を支え、生活の質の維持向上に多大な貢献をされました」と書かれています。

各地の医師から、終末期の患者の支えになっているという話を聴き、わざわざ賞をつくって表彰することにしたそうです。

赤城乳業 開発マーケティング本部 岡本秀幸課長
「ほとんど何も食べられなくなった家族が、アイスを食べて少しだけ元気を取り戻せました」とか、「四十九日や一周忌などの節目に思い出します」といった声を寄せていただいています。本当に光栄なことだと思います。

広がる思い出のシェア

廣橋さんのツイートをきっかけに、SNS上では、家族の最期に何を食べさせてあげたのかや、それにまつわるエピソードが数多く書き込まれています。

父と叔父は亡くなる直前まで「アイスボックス」を欲しがっていました。

母の最期の日々を思い出します。アイスクリームとかかき氷、スイカジュースなどを喜んでました。

うちの母は「ガツンとみかん」(※みかん味のアイスキャンディー)でした。

3つ目のメッセージを投稿したのは40代の女性。

母親は10年前、59歳で亡くなりました。

亡くなる1か月ほど前から食べ物が口にできなくなったという母親。
妊娠中、よくシャーベットを食べていたことを父親が思い出し、このアイスを持っていくと、「懐かしい」「さっぱりしておいしいね」とうれしそうに食べてくれたそうです。

女性
妊娠当時のエピソードを聴きながら、父親にアイスを食べさせてもらう姿を見て、涙が出るほどうれしかったことが今も忘れられません。食べているときは、少しは苦しみから解放されているように見えました。

「おいしい」「また買ってくるな」

うちの父も「アイスの実」を美味しいと言って食べていました。美味しいと言って完食してもらえたのは嬉しかったです。

こう投稿したのは、坂本友輝さん(38)です。

2歳のときに母親が亡くなり、父親の圭吾さんに男手一つで育てられました。

子どものころは口答えばかりしていたという坂本さん。
年を重ねるにつれ、司法書士の仕事をしながら姉と自分の2人を育ててくれた父親の偉大さを身にしみて感じるようになったといいます。

「しっかり恩返ししないと」

そう思っていたやさき。

圭吾さんは肺がんで、治る見込みはないと、医師に告げられました。

5年前のことでした。

当時、73歳だった圭吾さん。

入院後、体調が急速に悪化し、意思疎通は困難に。

食事をするのも難しくなり、大好きだったカレーも、すしも、食べられなくなりました。

「何か口に入れてあげられるものはないだろうか」

そう思っていた時、病院の看護師から「がん患者は氷が好きなことが多い」と聞き、院内のコンビニで買ったアイスを持っていきました。

すると、圭吾さんは口の中で転がしながら、1つを30秒ほどをかけて、ゆっくりと味わったそうです。

そして、食べ終わると、絞り出すような声でこう言いました。

「おいしい」

「また買ってくるな」

坂本さんがこう声をかけると、圭吾さんは黙ってうなずきました。

圭吾さんが息を引き取ったのは、その3日後。

アイスをめぐるやり取りが、親子にとって最後のコミュニケーションになりました。

坂本友輝さん
「何も恩返しができていない」とずっと落ち込んでいたので、自分が買ってきたアイスを「おいしい」と言ってくれたことが本当にうれしかった。少しは気分転換させてあげられたのではないかと、慰めになりました。アイスは、私たち家族にとって、とても偉大な存在です。

アイスがつないだ“大切な物語”

医師の廣橋猛さん。

自身のツイートが、多くの人にとって家族との最期の時間を振り返り、思いを致すきっかけになればうれしいと話します。

緩和医療の専門医 廣橋猛さん
家族を亡くすのは悲しく、つらい経験です。でも、みなさんの投稿は悲しみというよりも、大切な人を最期まで支えられたというよい思い出になっているように思います。緩和医療について多くの人に知ってもらうためにも、こうした思い出をシェアするような取り組みができればいいなと思っています。

今回、たくさんの人がメッセージを寄せた後、廣橋さんが投稿したツイートです。

大切な人との懐かしい思い出

こうすればよかったという後悔

体調が悪かったときの苦労

介護する側の苦悩、そしてやりがい

一つ一つが大切な物語
繋いでくれたガリガリ君に感謝です

(取材・首都圏局 及川知紀 ネットワーク報道部 玉木香代子 芋野達郎 SNSリサーチ 梶原龍)

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