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「子宮頸がん」とは、子宮下部の管状の部分(子宮頸部)に生じるがんのこと。 子宮頸がんは子宮がんのうち約7割を占め、最近では20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークといわれています。一方で、検査による早期発見、早期治療が進んでいます。漫画家の岡田有希さんは33歳の時に子宮頸がんと診断され、子宮と卵巣を全摘出しました。その後、平穏な生活に戻ることができましたが、子宮がなくなって気づいたこともたくさんあったそう。「さよならしきゅう そのあと」では、闘病を乗り越えた先にある出来事を綴っています。
女性なら誰でもかかる可能性がある子宮頸がん。漫画家の岡田有希さんは、同業者の夫との間に娘が生まれ、仕事と子育てに追われる毎日を過ごしていました。ある時期、生理不順が続いたため、病院の診察を受けたところ、子宮頸がんが見つかります。33歳で突然告げられた、「がん」という事実。医師には「生理不順くらいで検査に来てくれてよかった…! 若い人はなかなか来ない! そして手遅れになる! 良かったんだよ。良かった」と言われたものの、子宮全摘出の可能性があることも告げられ、自分がこの先どうなるのかわからない不安に陥ります。岡田さんが闘病を体験し、「同じ病の人のブログなどをたくさん読んだが、いつも最後は絶望することになった…。元気になれるものが読みたかった」という思いから、闘病エッセイ「さよならしきゅう」という作品が生まれました。
今回紹介するのは、その続編「さよならしきゅう そのあと」です。子宮と卵管を全摘出し、治療が終わってから5年後の日常を描いています。
がんの治療が終わったものの、以前と同じ生活に戻るわけではありません。第一話で描かれているのは生理のこと。岡田さんは子宮と卵巣を全摘出したため、生理がなくなりました。作品の中では、ガッツポーズで「解放」と描かれていますが、生理前から体調が悪い、出血量が多い、生理のせいで予定が狂うといった、生理にまつわるあれこれに長年悩まされている全女性にとっては、もし生理がなくなったらまさにこんな気持ちになりそうです。
岡田さんは、2日に1回、お腹に貼るだけで女性ホルモンを補うことができる「エストラジオール」(貼り薬)を使用し、生理がない心穏やかな暮らしを満喫していました。ところが、生理がないことの弊害にも気づくようになります。
それは、体調の悪さ、原因不明のイライラ、体重の増加など、「生理のせい」と片付けていたことが、実は生理が原因じゃなかったかもしれないということ。実際のところ、生理やホルモンバランスの変動が原因の場合もあるのですが、もしかしたら安易に「生理」のせいと片付けてしまい、その裏に別の原因が潜んでいることに気づいていない、なんてこともあるかもしれません。体重の増加については単なる食べすぎということもあるわけで……。
岡田さんの場合、子宮摘出前は生理前に体重が増えても生理後には元に戻っていたため、体重を維持できていました。しかし、生理がなくなった今、ダイエットのタイミングがわからず、どんどん太っていく自分に愕然とします。確かに、生理が終わってから排卵までの期間はホルモンバランスの関係で痩せやすいといわれています。岡田さんは、がんの治療で子宮を失い、生理がなくなってはじめて、生理は辛いばかりではなく、実はそんな恩恵を受けていたことにも気づいたわけです。
作品では、右足のリンパ浮腫、セックスレス問題、排尿障害、治療後の仕事再開など、さまざまなエピソードが描かれています。自分が当事者になったら深刻になり、思いつめてしまいかねないところですが、「ぜんぶ漫画のネタになる!」と、いろんなことを試してみたり、考えてみたりと前向きに試行錯誤する岡田さんの姿からは元気をもらえます。また、起きてしまった出来事に対して、病気のせいにして悩み、落ち込むのではなく、選択肢を見つけていこうとする姿勢には、「自分もがんばらねば」と思わずにはいられません。
がんになったことがない人にしてみれば、がんを宣告されたら、その先には「死」という絶望感しかイメージできないかもしれません。実際に岡田さんもそうだったわけですが、発見から7年以上が経過した今、家族と変わらず穏やかに楽しく暮らし、がんになった父を見守る毎日が続いています。見過ごされがちな「そのあと」から教えられるものは多く、ぜひ多くの人に読んでほしい作品です。
『さよならしきゅう そのあと』
著者 岡田有希 講談社
岡田有希、漫画家。夫と娘との3人家族。
33歳の時、子宮頸がんの治療のため、子宮と卵巣を全摘しました――。
ガンがなくなった分、子宮もなくなった。
けれど毎日、平穏無事に楽しく暮らしています!!
話題の闘病エッセイの“そのあと”のお話。笑って元気になれる赤裸々な続編!
吉川 明子
兵庫県生まれ。コンピューター・デザイン系出版社や編集プロダクション等を経て2008年からフリーランスのライター・編集者として活動。旅と食べることと本、雑誌、漫画が好き。ライフスタイル全般、人物インタビュー、カルチャー、トレンドなどを中心に取材、撮影、執筆。主な媒体に週刊朝日、アサヒカメラ(「写真好きのための法律&マナー」シリーズ)、婦人公論、BRUTUS、朝日新聞デジタル&w(連載「book cafe」ほか)など。
(インスタアカウント)
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