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はじめまして。飯塚病院(福岡県飯塚市)の連携医療・緩和ケア科で緩和ケア医として勤務している、柏木秀行と申します。6月14日と15日の2日間(現地の視察期間)、急性期医療における緩和ケアをテーマに米国病院を視察する機会を勤務先からいただきました。参加したのは当科の医師3人です。
m3.comの会員の皆様に、少しでもこの分野について興味を持っていただきたい思いと、我々の抱く課題感を同じように感じている方も多いのでは?という気持ちで、全5回の視察紀行として経験を共有します。温かく見守っていただけましたら幸いです。
1. 急性期医療なのに緩和ケア?
緩和ケアというと、主にがん患者を対象としてお看取りが近い患者さんへのケアをイメージされる方が多いようだ。具体的にはあと1カ月以内に亡くなることが予想されるような状況だ。
実は緩和ケアの対象が、これまでの緩和ケアのイメージよりも、拡大してきている。その一つの方向性として、救急や集中治療といったこれまで緩和ケアとはかけ離れた領域と捉えられていた分野が注目されている。冷静に考えると、交通事故で予想もしなかった死別を経験するご家族や、治癒の見込みが乏しくなった集中治療を受けている患者の治療をどこまで続けるかといった難しい問題が山積している。
私は緩和ケアの仕事を始める前に、救急や集中治療が診療の中心だった時期にこういった課題感を強く抱くようになり、急性期緩和ケアとしてこの分野を学び教えられるようになりたいと思った。
2. Cedars-Sinai Medical Center(以下、CSMC)について
ここで今回視察にお伺いしたCSMCについて簡単に説明する。CSMCはロサンゼルスにある、ICU150床を含む950床の大規模な急性期病院だ。全米の病院評価ランキング(Best Hospitals Honor Roll)で2位、そのほかの様々な分野でも非常に高い評価をされている病院となる。
私が勤務している飯塚病院は、いくつかの海外病院と提携している。2019年に緩和ケア領域でCSMCと新たな関係を作っていくことを視野に視察させていただいた。その際にいろいろなことを学ぶことができ、継続的に人材交流をしていく予定だったが、パンデミックの影響で頓挫してしまっていた。
3. 2019年の訪問で感じたこと
2019年の訪問では、初めて目にすることが多く、今でも非常に印象深く覚えている。特に、チャプレンといった日本にはあまり一般的でない専門職の参加するチーム医療や、トレーニングを受けた薬剤師が担当している症例のショートプレゼンテーションをしているといった光景があった。チーム医療の重要性は日本でもしばしば語られ、緩和ケアの実戦においては各職種の専門性が有機的に発揮されることは非常に重要だ。しかし、医師を中心としたヒエラルキーが見え隠れする日本の医療現場と比較すると、随分と異なる光景に感じられた。
また、当時も急性期緩和ケアを中心に視察をしたが、体外補助循環や心臓移植の症例などに対して、緩和ケアチームへのコンサルテーションがルーチンで行われていることは、日本でも補助循環装置の適応が広がっていく上で非常に示唆に富む光景だった。そして、集中治療の中止、差し控えの議論の実際を、ディスカッションを通じて適切なプロセスや症状緩和をしながら人工呼吸器などの生命維持治療の中止がなされる光景に対し、今後の日本でどのような議論をしていくべきかを考えさせられた。
4. コロナ禍を乗り越えてついに再始動
2019年以降、継続的な人材交流を計画し、CSMC側も当院に視察に来ていただく日程を調整していたタイミングで新型コロナウイルス感染症のパンデミックに突入した。私にとって、急性期緩和ケアをさらに充実していくために準備を重ねて来ただけに複雑な気持ちだったが、そうは言っていられなかった。大きく変わってしまった医療現場と、生活に必死に適応しながら次のチャンスを諦めきれない。パンデミックもいつかは終わり、元の世界とは言わないまでもいつかチャンスが巡ってくると思い、もし交流が再開できたらどう言った取り組みをするかを考えながら連絡を取り合っていた。そして、提携関係を再スタートさせる意味も込めた今回の視察のチャンスが巡ってきた。
というわけで、初回は視察の背景についてお話ししました。次回は視察の準備についてのお話です。引き続きよろしくお願いします。
視察の詳細は飯塚病院 連携医療・緩和ケア科のブログでも公開中です。個人的な連絡やご質問はいつでも歓迎です。サイトのお問い合わせからいつでもご連絡ください!
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