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希望の会は、スキルス胃がん患者であった 轟哲也 氏(2016年逝去)が15年3月に設立した患者家族会です。胃がんは5大がんの一つですが、その中のスキルス胃がんは、治療が難しい難治がんです。理由は、スキルス胃がんが、内視鏡検査やエックス線検査で早期発見しにくいことにあります。症状が表れて発見された時には既に進行している場合が多いものです。このがんについての情報が乏しかったため、病気や治療について発信することを目指して希望の会はスタートしました。現在は、スキルス胃がんだけでなく、胃がん全体を対象として情報発信をしています。
スキルス胃がん情報をまとめた冊子を作成
最初に取り組んだことは、スキルス胃がん情報をまとめた冊子を作成することでした。国立がん研究センターのほか、賛同してくださる医師の方々の協力で、16年1月に「もしかしたらスキルス胃がん―治療開始前に知りたかったこと―」を作成しました。初版、増刷ともに、正力厚生会の助成金を使わせていただきました。冊子は、全国のがん診療連携拠点病院に配布し、さらに、全国から届く問い合わせに応じて、連日、冊子を発送しています。
全国胃がんキャラバンへの挑戦
患者や家族が集まってスキルス胃がんについて学んだり、患者同士が交流したりするセミナーの開催を、東京都内を中心に始めました。スキルス胃がんの冊子の存在が全国に知られるようになると同時に、セミナーには全国から多くの患者さんが参加してくださるようになりました。
また、胃がんの患者会が希望の会だけということもあり、スキルス胃がん以外の胃がん患者さんからもお問い合わせが増えてきています。そこで希望の会は19年、日本胃 癌 学会の後援を受け、北海道から九州まで全国10か所で、胃がんに関するセミナーを開催しました。
内容は、胃がんの本態、予防、治療、患者の生活など、幅広いものでした。加えて、どのようにして治療が確立されていくのか、臨床試験とは何か、ガイドラインはどのようにして作られていくのか、という内容を含めたことで、標準治療への理解につながったと感じています。
セミナーでは、毎回、質疑応答を大切にしています。全国10か所の開催に追加し、質疑応答に特化したセミナーを4回、東京都内で開催しました。病気や治療が理解できたことで、主治医と、より話すようになったという感想をいただきました。今年度も継続の予定ですが、新型コロナ禍ではウェブ開催を視野に検討しています。
がん患者ではない一般の人にもがん情報を
国民の2人に1人ががんになると言われていても、なかなか自分事として考える気持ちにはなれないと思います。しかし、ある日、突然がんを告げられ、うろたえたことを、がん患者は経験しています。自分たちが街に飛び出し、その経験を日常の中で発信できないかという取り組みを、18年から行っています。「グリーンルーペ」というアクションです。緑は虹の真ん中の色です。中立、調和という意味を持つ「グリーン」に、もっとがんをよく知ろうという思いを「ルーペ」(虫眼鏡)にこめて、名付けました。
希望の会、肺がん患者の会ワンステップ、子どもを持つがん患者の会キャンサーペアレンツが発起人となり、18年は埼玉県の越谷レイクタウンで、19年は東京の渋谷キャストで、それぞれイベントを開催しました。多くの買い物客らが足を止め、質問してくれました。がん情報へのニーズの高さを感じました。このアクションには、厚生労働省、各自治体、そして多くの医療者のみなさんが賛同してくださりました。新型コロナ禍ではウェブを使用して発信を続けています。
がんであるとか、がんではないとかいう敷居をなくして語り合うことが理解につながると思いました。そこで、がん患者や家族のほか、医師、看護師、薬剤師、会社員ら様々な人たちが参加するウェブ交流会も開催しています。それぞれが持つ力がパズルのピースのように集まることで、大きな力になると感じています。知ることが理解となり、生きやすい社会につながると信じ、これからも発信の可能性を広げていきたいと思っています。
認定NPO法人 希望の会
2015年3月、スキルス胃がん患者家族会として発足。17年4月、認定NPO法人となった。現在は、スキルス胃がんのみならず、胃がん全体を対象としている。「知ることは力になる」をモットーに、日本胃癌学会と連携し、正確な情報発信を心がけている。19年4月には遺族会を発足。患者、家族、遺族の 想 いを大切に、月1回の交流会と、毎年七夕の頃に大切な人を想う会を開催している。
ホームページ https://npokibounokai.org/
このコーナーでは、公益法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。
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