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日本人の2人に1人が罹患する「がん」。長生きするほどがんと宣告される可能性は高くなり、男性における死亡率は26.7%に達する。それでも、がんになった時、自分に合った病院や治療を選択できる人はほとんどいない。
身体の不調で気付いた時は、もう遅い。人間ドックなどでがんが疑われ、精密検査を受けると、そのままベルトコンベアに乗って告知→入院→手術という流れに乗ってしまう。
確かに、手術で目に見えるがんは切除できるかもしれない。運良く転移がなければ、完治の可能性も見えてくる。だが、臓器を切除することは、状況によっては術後のQOL(Quality of Life:生活の質)に影響を与える。だから、抗がん剤(化学療法)や放射線、免疫治療などを選択する患者も少なくない。
『ドキュメント がん治療選択』を上梓した作家・ジャーナリストの金田信一郎氏(53歳)も、手術を土壇場でキャンセルして、放射線治療と抗がん剤治療を選択した1人だ。
内視鏡検査で食道と咽頭に複数のがんが見つかった金田氏は、地元医の紹介で東京大学医学部付属病院に入院する。2020年4月、新型コロナが猛威をふるい始めたころだ。
東大病院では、胃がんや食道がんの権威、瀬戸泰之氏が率いる胃食道外科で食道の摘出手術を前提に治療が始まったが、治療法に疑問を感じた著者は東大病院を飛び出し、理想の治療にたどり着く。
通常、がんを宣告されるまで、自分が罹患するとは考えていない。宣告された時は、ほとんど知識もなく、動揺もあって治療法を考える余裕はない。それゆえに、目の前の医師の方針に従って治療を始める。だが、手術は身体への負担が大きく、金田氏のような食道がんの場合は、食事や睡眠など術後の生活に大きな制約を受ける。
生存率を優先すれば、手術は有効と言える。だが、放射線に切り替えても、実は生存率はあまり変わらない。そんな事実を、医師は教えてくれない。術後のライフスタイルを考えれば、治療法を比較し、選択できてもいいはずなのに──。
がん治療の中、自身に最適な治療法を求めて苦闘した金田氏に、「日経ビジネス」時代の元同僚が話を聞いた。(聞き手、篠原匡:編集者・ジャーナリスト)
──金田さん、こんにちは。その後、具合はいかがですか?
金田信一郎氏(以下、金田):特に悪くはないけど、肩がめちゃくちゃ痛くって。
──治療の後遺症ですか?
金田:いや、おそらく原因はギターの弾き過ぎ。コロナで外に出られないからね。
──なるほど(笑)。7月に出した『ドキュメント がん治療選択』はアマゾンでも高評価ですし、なかなかの反響ですね。金田さんの方にも反響はありました?
金田:反響はありますね。全国から、みなさんがここに来ちゃうんすよ。
──読んだ人が?
金田:そう。「がんを告知されたのだがどうしたらいいか」って。「私は医者ではないので」って言っているんだけど、これまでに数十人から連絡があって、実際に4人が訪ねてきた。
先週、ここに来た方は同じ食道がんで、「手術したくない。なぜならば、この本を読んだからだ」と。
この人の場合、食道にがんが10カ所ほどあるんだけど、ステージはまだ初期で、深さでいうと「T1」とまだ小さい。私は「T3」だったからね。ただ、手術で食道を全摘することを医者から勧められて、「それはいやだ」と。
※T1…粘膜から粘膜下層にとどまっている表在がん
※T3…食道の外膜まで出てきているがん
彼は重粒子線治療を希望していてセカンドオピニオンの予約も取っていた。ただ、重粒子線はがん細胞をピンポイントで攻撃できるというメリットはある一方、治療費が高額になる。彼のように十カ所近くあると、かなりの費用になってしまうんだよね。
また、抗がん剤をやりたくないという意向を持っていたけど、抗がん剤はやった方がいいと思いましたね。T0とか初期のがんならば、リンパに転移していないがんもあるんだけど、食道がんの場合は初期でも細胞単位では、身体中にがん細胞が散ってしまっている可能性がある。そのため、抗がん剤で、体全体のがん細胞を叩いておいた方がいいと考えてます。
T0…癌腫の存在が認められない状態
──同じような悩みを抱えている人がそれだけ多いということですね。
金田:そうだね。自分自身、がんを宣告された時は、治療法を吟味する余裕なんてなかったから。
──私はがん治療の経過を、金田さんからリアルタイムで聞いたので理解していますが、改めて『ドキュメント がん治療選択』を読むと、本当に奇跡のような決断の連続でしたね。
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