10月以降のコロナ対応、入院患者受け入れの診療報酬評価、検査への支援、クラスタ―発生病院への支援など要望—日病・相澤会長 | GemMed | データが拓く新時代医療 – 遺族サロン

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2023.9.14.（木）

新型コロナウイルス感染症に対応する医療提供体制・診療報酬等の特例措置については、今夏（2023年夏）の状況を見て「見直しの必要性などを検討する」こととされており、中央社会保険医療協議会でも見直し論議がスタートしています。

そうした中、日本病院会の相澤孝夫会長は9月8日に、加藤勝信厚生労働大臣（当時）に宛てて「令和5年10月以降の新型コロナウイルス感染症への対応に関する要望」を提出しました（日病のサイトはこちら）。

今夏（2023年夏）の状況踏まえ、10月以降のコロナ対応方針を国で検討

新型コロナウイルス感染症は5月8日に5類感染症へ類型移行。外出自粛制限などは廃止され、幅広い医療機関で他の5類疾病（季節性インフルエンザなど）と公平性を確保した医療提供が始まっています（関連記事はこちら）。

【5月8日から9月末までのコロナ対応に関する記事】
・5類移行後の医療提供体制確保などに関する記事はこちら
・コロナ対応補助金に関する記事はこちら
・コロナ病床確保料に関する記事はこちら
・施設基準特例に関する記事はこちら
・入院、外来の診療報酬特例に関する記事はこちら
・在宅診療報酬特例に関する記事はこちら
・高齢者施設、検査等の診療報酬特例に関する記事はこちら

こうした対応は「当面、9月まで」とされ、今夏の状況を踏まえて「10月以降の対応を検討する」とされています。

今般、相澤会長は10月以降の対応検討に当たって次のような点を踏まえるよう、加藤厚労相（当時）に要望しました。

（1）コロナ確保病床について「感染拡大時への限定」「重点医療機関の区分廃止」などをすれば、コロナ対応しない病院・コロナ患者を紹介する際に個室が空いている病院を探すことが難しくなる。医療機関間での重症・中等症II患者の入院調整にも懸念があり、「行政を含めた入院調整」「受け入れ可能な医療機関に関する情報提供」の仕組み創設が必要である

（2）平時から病院毎の病床利用率に違いがあるため、病床確保料による支援は合理性が無い。コロナ患者を個室に入院させた場合、差額ベッド代が減免されること、5類移行後もクラスター防止のためのゾーニング実施等が必要になるため、「コロナ患者の診療、受け入れ体制整備にかかるコストは診療報酬等における適切な評価」が必要である

（3）コロナ患者の入院期間が長くなれば重症・中等症II患者を受け入れる病院に患者があふれる懸念がある。このためコロナ回復後、早期の転院を可能とするような後方支援病院の整備が必要である。整備にあたっては、▼コロナ患者に対して看護師が専従にならざるを得ず、コロナ以外の患者への夜間のケアができなくなる▼現在の疾患別リハビリにおいて、肺炎等の患者では廃用症候群リハビリ料は算定できるが、コロナにより寝たきりとなった結果生じた廃用症候群はリハビリ料の算定が認められにくい—ことを踏まえ、「重度化予防も含め、新興感染症を原因とする廃用症候群のリハビリ料算定に対する配慮」が必要である

（4）クラスター発生による一般診療制限が懸念されるため、「コロナ患者を受け入れた結果として起きたクラスター対応のため休止にせざるを得ない病床への補助、支援」が引き続き必要である。その際、▼コロナ以外の疾患により入院した患者がコロナ感染しクラスターを起こした場合も「コロナ患者を受け入れた結果」としてクラスター支援対象となることを明確にする▼面会家族等や医療従事者がコロナ感染している場合があり、病棟内で新たにコロナが発生した場合はクラスター支援の対象とするような柔軟な対応—も必要である

（5）クラスターが発生した際に院内で行う検査を「行政検査」として実施した場合、検査結果までに日数がかかり、感染拡大の恐れがある。他方、感染拡大を防ぐため病院の判断で行う検査は診療報酬算定が認められず、病院の大きな負担となる。幅広い医療機関でコロナ患者を診る体制を整えるため、クラスター発生を防ぐためにも「検査に対する支援」が必要である

こうした要望内容が国の決定にどう反映されるのか注目が集まります。