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ここは、ある下町にあるという架空のカフェ。オーナーののぶさんのいれるコーヒーの香りに誘われ、今日もすてきなゲストが訪れて、話が弾んでいるようだ。(ゲストとの対話を、上下2回に分けてお届けします)

【今月のゲスト】
宮本直治(みやもと なおじ)さん
1960年生まれ。学生時代に肺がんの母親を自宅で看取る。大阪の病院にて薬剤師として勤務するかたわら、故野田風雪氏に師事して仏法を学ぶ。2007年胃がんステージⅢで手術。その後、僧籍を取得し、緩和ケア病棟(ホスピス)のビハーラ僧研修生。体験というそれぞれの持ち前を生かした社会活動に力を注ぎたいと、32年間勤務した病院を退職。2020年医療と暮らしを考える会を設立。医療と暮らしを考える会理事長。がん患者グループゆずりは代表。宿坊で語り合うガン患者の集い主宰。日本ホスピス・在宅ケア研究会理事。がん患者団体支援機構副理事長。ビハーラ僧(浄土真宗僧侶)。薬剤師。
医療と暮らしを考える会:メール iryou.to.kurashi@gmail.com
フェイスブックページ:https://www.facebook.com/groups/2678603975694950/
医療と暮らしを考える会 宮本直治さん(下)
カフェには、病院の薬剤師として働いているときに胃がんになり、その後、僧侶になったという宮本直治さんがお越しになっている。彼は、2020年に「医療と暮らしを考える会」をつくり、理事長を務めている。
大切な最期の時間をどのように過ごすのか、今の時代は患者の意思が尊重されるようになっている。しかし、本人の考えがまとまっていなかったり、家族が現実に向き合おうとしなかったりする場合、調整のために大切な時間が費やされてしまうことを、宮本さんは心配している。
「自分の最期について、家族と話すことが大切ですよ」と、緩和ケアに携わる医療者はよく口にする。しかし、「話すことが大切」と言われても、多くの人は自分の最期や人生の覚悟について家族と話したことがないので、自分の中に「言葉がない」のが一般的だ。
また、家族から「そんなこと言わんと、もっとがんばりや」などという言葉で話題をそらされ、本人にとっては精いっぱいの思いを込めた言葉を人ごとのように軽く扱われたことが悲しくて、それ以上の思いを口にできなくなった事例もあったそうだ。
こういった話を聞いて、ハッとさせられた。私もがんを患っており、最期をイメージしているが、親に「そんな悲しい話をするな」と言われ、その後は何も言えなくなっている。
そこで、患者と家族が様々なシチュエーションに正面から向き合え、思いやりのある関係づくりを目指したいと思い、彼は「医療と暮らしを考える会」の設立を決意した。
家族との絆 患者と家族との関わりを大切にしたい
宮本さんは、患者や家族だけでなく、将来、身内ががんになる可能性を持つ人たちに対する支援を通して、後悔のない家族関係、思いやりあるコミュニティーができてほしいと願っている。いわゆる患者会と大きく違うのは、患者本人だけではなく、家族との関わりを大切にしているところだ。
「家族教育が大切なんよ」
どのような医療を受けるかを学ぶのは、会の活動の軸ではなく、家族のきずなを強め、自分の有りさまを見つめることが大切なのだという。
「必要なのは、いつも最先端の治療なんかな? 長く生きるよりも大切なことがあるようにも思うんやわ」
落ち着いた優しい言葉からは、人生を深く考えている僧侶の顔が見え隠れする。聞いている私も、穏やかな気持ちで、言葉の一つひとつが腑(ふ)に落ちてくる。
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