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今日も“家飲み”が止まらない…
コロナ禍で、自宅での飲み過ぎに注意。

こんなニュースを聞いて、晩酌は缶ビール1本と決めていたのに、筆者は冷蔵庫に残っていた缶チューハイにも手を出してしまいました。

「あと、もう1本だけ」

そんな気持ちが、3本目、4本目…につながり、あなたの人生さえも壊しかねない「アルコール依存症」に陥るリスクを秘めています。

(ネットワーク報道部 記者 小宮理沙 杉本宙矢 林田健太)

歯止めがかからない

「仕事がネットで済んでしまい、10日連続で深酒をしてしまった。自分でも異常だと思うので病院に行こうと思っている」

「3週間くらい仕事がなく、家で朝から飲んでしまう。このままだと依存症になるんじゃないかと不安」

アルコール依存症を予防する啓発活動などに取り組む、NPO法人「ASK」に寄せられた電話相談の内容です。

代表の今成知美さんによると、去年、最初の緊急事態宣言が出されて以降、いわゆる「家飲み」で酒を飲みすぎていることを心配する人や、その家族などからの相談が目に付くようになったといいます。

自宅で過ごす時間が長くなったことで、もともと飲酒量が少し多かった人が、飲食店で飲む代わりに、知らず知らずのうちに限度を超えた飲み方をしたり、酒を断っていたアルコール依存症の患者が再び飲み始めたりしていることが背景にあると分析しています。

ASK代表 今成知美さん
「コロナ前なら、あしたも仕事で人に会うから飲み過ぎないようにしようという意識が働きますが、テレワークの普及や仕事がなくなって自宅にこもるようになると、その意識が薄れてしまいます。それに、家飲みだと周りの人の目や終電も気にしなくていい。外に出なくなったことで、飲酒に歯止めをかけるものがなくなっています」

自分の意志だけでは限界

「抜けだそうと思っても自分の意志だけでは、どうにもできないんです」

そう話すのは、かつて重度のアルコール依存症に苦しんでいた渡邊洋次郎さん(45)です。

渡邊さんは、未成年でしたが18歳の時にホストクラブに勤めたのがきっかけで、毎日のように大量の酒を飲む生活が始まりました。

ふだんは気が弱くて嫌なことを嫌だと正直に言えない自分が、酔っ払うと気が大きくなり、周りがちやほやしてくれたといいます。

毎晩、ブランデーのボトル1本を1人で飲み干す勢いでした。

渡邊さん
「酔っ払ったときが“本当の自分”だと思い込んでいました。けれどその感覚は、周りの人に認めてもらえない寂しさや不安からくるものでした」

その後、20歳でアルコール依存症と診断された渡邊さん。

身体が震えたり暴れたりしたため、治療のため10年間で50回近く病院に入院したといいます。苦しさのあまり自傷行為に及ぶこともありました。

何度も酒をやめようと思いましたが、それでもやめられない。勤務先でお客さん用のボトルを勝手に飲んで解雇され、ついにはコンビニでウイスキーを盗んだりするようになります。

めいてい状態でトラブルを起こして警察に逮捕され、刑務所に3年間服役。渡邊さんは自分を責め、後悔し続ける日々の中で、自分だけでなんとかしようとすることに限界を感じたといいます。

渡邊さん
「今まで意志が弱いから飲んでしまうと思い込んでいましたが、これはもう自分の意志じゃないなとようやく気がつきました。自分は病気なんだなと本当に自覚できるようになるには、10年以上かかりました」

つながって、立ち直る

そんな渡邊さんに立ち直るきっかけを与えてくれたのが、依存症の患者どうしが語り合う自助グループのミーティングです。

はじめは、その効果に疑問を持っていましたが、参加者どうしが酒による過去の失敗などを赤裸々に語り合う姿を見て、渡邊さんは自分の内面を素直にさらけ出せるようになったといいます。

そして、自分よりも症状の重い人が回復している姿に勇気づけられ、仲間と苦しみを分かち合うことで、酒から離れることができました。

以来、渡邊さんは12年間、酒を飲んでいないそうです。

渡邊さん
「仲間とのつながりがあったおかげで、その後の生活を投げ出さずに済んでいます。依存症と“共存”するには自分の弱さを認め、仲間の力を頼れるようになることが重要です」

居場所なくなると、命に関わる危険も

渡邊さんは現在、アルコール依存症の患者の支援を行う施設で職員として働いています。

自身の経験を踏まえ、施設の患者にミーティングの重要性を訴え参加してもらっていました。

ところが今、新型コロナの影響で対面形式でのミーティングが、開けなかったり定員がしぼられたりして、参加しにくくなっているといいます。

患者の中には、酒を断っていたのに再び飲み始めてしまった人もいて、渡邊さんは顔を合わせて語らう場が失われることに危機感を感じています。

渡邊さん
「言葉だけではなく、お互いの表情やふるまいから何かを感じ取ることも、回復の過程でとても重要です。重い依存症の人にとって集まる場所がないことは、飲酒のリスクが高まり命に関わる問題にも直結しかねません」

このため、各地の自助グループではオンラインでのミーティングを開くなど、少しでも患者どうしの交流の場を設けようと模索しています。

直接会えない今、あらゆる手段を使って、可能なかぎり依存症で悩んでいる人がつながり、たとえ再び飲酒したとしても、もう一度、励ましてくれる仲間と交流を続けることが大切だといいます。

渡邊さん
「飲まないと心に決めていても、つながりが減ると元に戻ってしまう人がいます。いまは依存症でない人でも、コロナ禍の先の見えない不安から意図せず酒量が増え、リスクが高まっています。ストレスが多く、酒が身近な社会では誰でも依存症になる恐れがあるので、社会全体で飲酒に代わるつながりや居場所を増やしていくことが大切です」

適量を知る

どうしたら、アルコール依存症になるのを防げるのでしょうか。

どれくらいの量だと健康に大きな影響が出るのか、わからないという人も多いと思います。

個人差はありますが、厚生労働省は「節度ある適切な飲酒」となるアルコールの量の目安を、1日平均で20グラム程度としています。

アルコール度数が5%のビールやチューハイの場合、500ミリリットル缶1本に相当します。

ただ、店頭に並ぶ酒は、アルコールは「度数」で表示されているので、どれくらい飲むとアルコールの摂取量が20グラムになるのか、ひと目ではわかりません。

そこで、NPO法人「ASK」では、アルコールの摂取量や分解にかかる時間が簡単にわかる「めやす電卓」をホームページで公開しています。

飲んだ量とアルコール度数などを入力すると、アルコールの摂取量や分解にかかる時間などが計算でき、自分の適量を知ることができるといいます。

ビール各社も表示に

大手ビール各社も、アルコールの摂取量をグラム単位で表示する取り組みを本格的に始めることになりました。

アサヒビールは、ビールやチューハイなどの缶に、グラム単位での表記をことし7月から順次導入し、2023年の末までにアルコールを含む缶入りのすべての商品に表示する計画です。

このほか、キリンが2024年までにグラム単位での表示を始めると表明しているほか、サントリーとサッポロも年内にホームページで公開する方針です。

ひょっとしたらあなたも依存症”予備軍”?

アルコールの量以外に、気を付けるポイントはあるのでしょうか。

東京の成増厚生病院で、アルコール依存症の治療を専門に行う垣渕洋一副院長は、飲酒の習慣をいかにコントロールできるかが、依存症になるのを防ぐのに欠かせないといいます。

垣渕洋一副院長
「ある時間になったら飲むとか、仕事が終わったら必ず飲むなど、飲酒が習慣になっていると依存が一歩進んでいる状態です。習慣化していると脳の変化が起きて、依存症のリスクが高まるんです」

垣渕副院長によると、飲酒が習慣になっていくと、脳がアルコールの影響を弱めようとして、脳に耐性ができて徐々に酔いにくくなり、このため飲む量がどんどん増えていき、依存症になるおそれが高まるといいます。

そうならないためには、日々のストレス解消をお酒だけに頼るのではなく、誰かと話をしたり運動をしたりと、色んなストレス対処法を見つけることが大切だといいます。

自分の飲み方に不安を感じた方は、WHO(世界保健機関)が作成したチェックシートなどを使うと、簡単な質問項目に答えるだけでいまの状況を知ることができます。

依存の傾向があるかもと感じたら、専門の医療機関で早めに診療を受けてほしいとしています。

垣渕副院長
「重度のアルコール依存症の人と問題がない飲酒をしている人との間のグレーゾーンに、たくさんの人がいます。飲酒の問題を何かしら抱えているので、依存症か基準を満たすかどうかとは関係なく、一つ一つの問題の解決に取り組むことを勧めます」

飲みすぎちゃいけないとわかってても、ついついお酒に手を伸ばしてしまいますよね。

コントロールできてるつもりでも、酒量がどんどん増えているかもしれません。

私もお酒との向き合い方、見直してみようと思います。

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