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放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。5月16日(日)の放送では、株式会社HIROTSUバイオサイエンス代表取締役・広津崇亮さんが登場しました。
◆がんを見つけ出す線虫を発見!?
高須:がんを見つけ出す線虫(センチュウ)がいるそうですね。そもそも、線虫は寄生虫の仲間ですか?
広津:寄生しないものもいます。人間に寄生する線虫は、だいたい悪さをするので悪いイメージを持たれがちですが、実は土や海のなかなど、どこにでもいます。
高須:そうなんですか! ある一定の線虫が、がんを見つけてくれるということですか?
広津:実は、線虫は約1億種類いると言われています。
高須:そんなにいるのですか!?
広津:はい。そのなかで、土のなかにいる線虫をがん検査で使用しています。
高須:線虫ってどんな形状ですか?
広津:“小さいミミズ”のような生き物で、細長くてうねうねしています。
高須:土にいる線虫を研究しようと思った理由は?
広津:60年ほど前に、「線虫はこれからの生物の研究に使えるぞ」と唱えたイギリスの博士がいたんです。その方は、線虫の研究でノーベル医学・生理学賞を受賞しています。その方以外にも、線虫でノーベル賞を受賞した人が6人もいたりと、生物学のあいだでは、けっこう有名な生き物なんですよ。
高須:そうなんですね。全然知らなかったです。
広津:線虫は、いわゆる“モデル生物”と呼ばれています。実験のときにマウスを使うように、線虫も研究で使用される生き物の1つなので、世界中でいろんな方が線虫を使っていろんな研究をしています。
◆犬並の嗅覚を持つ線虫を活用
高須:線虫は、がん検査でどのように使われるのですか?
広津:私は、もともと線虫の嗅覚の研究をしていました。
高須:線虫にも嗅覚があるのですか?
広津:線虫には目もありませんし、鼻みたいな構造があるわけではないのですが、嗅覚が非常に優れています。
高須:嗅ぎ分ける力が強いのですね。
広津:臭いを嗅ぎ分ける能力として“嗅覚受容体”と呼ばれるものがあるのですが、人間は350個ぐらいあるのに対して、線虫は1,200個もあって、犬レベルの嗅覚があると言われています。
高須:そんなに!?
広津:たった1ミリの生き物なんですけどね。(ほかの研究者は)人を解析するためのモデル生物として線虫を使っていたのですが、私は“この優れた嗅覚を世の中に活かそう”と考えました。そして、いろんなテーマを考えたなかの1つが“がん”でした。もともと“がん探知犬”っていますよね?
高須:人間の呼気などの匂いを嗅いで、がんの有無がわかる犬ですよね。
広津:はい。ただ、“がん探知犬は実用化が非常に難しい”という話を聞いていたんです。
高須:それはどうしてですか?
広津:5人ぐらい検査をすると、犬が飽きてしまうそうです。そうすると、がん検査をしたい人に対して、検査犬が何匹必要になるのか……ってなりますよね。そういう話を聞いて“犬ができることは線虫もできるかもしれない”と思いきました。
高須:“嗅覚は犬レベル”とおっしゃっていましたもんね。線虫は、(がんを検知したら)どのようにシグナルを送るのですか?
広津:線虫は好きなものに寄っていく性質があるので、それを使って調べます。最初は血液やいろんなもので試したのですが、尿が一番、結果が出ることがわかりました。健康な人の尿だと線虫は逃げるのですが、がん患者の尿に寄ってくることを発見しました。
高須:それは見事ですね! その検査では、がんがある場所まではわからない?
広津:今はわからないのですが、“早期がん”に対しても高い精度で調べることができます。
高須:ほぼ100パーセントってことですか?
広津:80パーセントぐらいの精度があります。ほかの技術だと、10パーセントぐらいの精度しか出ないものがたくさんありますよ。そして、線虫は飼育にほとんどお金がかからないので、研究や検査を安くできるメリットがあります。
高須:なるほど。犬となると管理が大変ですもんね。
広津:そうですね。それに、線虫は放っておくと、ものすごいペースで増えていきます。1匹の成虫が300個ぐらいの受精卵を生んで、4日間で成虫になります。ただ、線虫を育てるにはノウハウが必要なので、検査に適した線虫を作ることは簡単ではありません。
◆自宅にいながらがん検査が可能
広津:(線虫によるがん)検査は、まだ地域限定の段階です。
高須:それはどうしてですか?
広津:検査では、尿のなかの“ある匂い”が重要なので、出した尿を冷凍する必要があります。温度が高いと必要ではない匂いも出てしまうためです。そして、尿を冷凍して運ぶ物流網が世の中にないことがわかり、それを作るのに苦労しています。なので、現在は限られたエリアにお住まいの方しか受けられない状況です。
高須:どこに行けば受けられるのですか?
広津:検査を導入している医療機関や健診センターで受けることができます。5月からは全国展開をしていく予定で、家で採った尿を集荷業者に渡すだけでがん検査を受けられるようになります。
※2021年7月には、「N-NOSE at home」(自宅にいるだけでN-NOSEが受けられる新サービス)が全国47都道府県で展開。
高須:そうなんですか!? 僕は毎年がん検診を受けていたのですが、コロナ禍になってからは行けていないんです。
広津:この検査なら自宅で受けることができますよ。
高須:ちなみに、検査費用はどのぐらいかかりますか?
広津:検査代だけだと、税抜きで9,800円です。しかも、尿を提出するだけなので痛くないです。
高須:先生ご自身はやられていますか?
広津:研究をはじめてからずっとやっています。
高須:結果はどうでしたか?
広津:家族の尿からは(線虫が)逃げましたが、自分の検査では微妙でした。それで精密検査を受けた結果、がんになる直前の細胞が見つかりました。
高須:そんなところまでわかるのですか!?
広津:はい。その細胞を取り除いたら陰性になりました。こんな時代だからこそ、自宅で受けられるがん検査サービスがあるってことを、どんどん発信していきたいですね。
<番組概要>
番組名:空想メディア
放送日時:毎週日曜 25:00~25:29
パーソナリティ:高須光聖
番組公式Facebook:https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/
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