[ad_1]
国立がん研究センターは12月25日、がん患者の約4割が、死亡前の1カ月間、痛みや吐き気、呼吸困難などの苦痛を訴えていたとする患者遺族への調査結果を発表した。全国的な遺族調査の実施は日本で初めて。今回は予備調査に当たり、2019年1~3月に約5万人を対象とした本調査を実施する。同センターは「現場の方に参考にしていただき、医療の質向上につなげたい」としている(詳細は、同センターホームページ)。
調査は、2018年2月から3月にかけて、がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、腎不全で死亡した患者遺族4812人を対象に郵送によるアンケートで実施。有効回答は2295人(48%)だった。対象者は、2016年の人口動態調査の死亡票を使用し、死亡場所と死因から無作為に抽出した。
有効回答2295人のうち、がん患者の遺族は1630人で、死亡前1カ月間で最も長く過ごした場所は自宅42%、病院(緩和ケア病棟を除く)24%、ホスピス・緩和ケア病棟5%、施設25%。死亡前1カ月間を「身体の苦痛が少なく過ごせたか」という問いでは、約30%が「そう思わない」と回答。約12%が「どちらとも言えない」、約48%は「そう思う」と答えた。亡くなる1週間前には約28%の患者に「ひどい」もしくは「とてもひどい」痛みがあった。
(国立がん研究センター「患者が受けた医療に関する遺族の方々への調査」2018年予備調査結果概要)
一方で、「医療者は苦痛症状に速やかに対応していた」という設問に、約84%が「そう思う」と回答。「そう思わない」は10%にとどまった。「死亡場所の医療に対する全般的な満足度」では、約76%が「やや満足」から「非常に満足」だった。
同センターは「医療に対する満足度は高く、評価をいただいていることが分かった」とした上で、「しかし、苦痛を感じている患者が3~4割という数字は決して低くない。治療や緩和ケア対策にまだできることがないのか、検討の必要性が示唆されている」と説明。「少しでも苦痛を改善していきたい」と話した。
介護については、患者遺族の約42%が「負担が大きかった」と回答。患者の死後、うつ症状に悩まされる遺族は約17%と、一般人口の有症率(3~10%)と比べ高かった。
終末期の患者はアンケートへの回答が困難であり、遺族調査が医療の質の検証に有効とされているが、日本では緩和ケア病棟など一部の対象を除き、遺族調査が実施されていなかった。全国調査では、死亡場所として最も多い一般病院を含め、偏りなく調査することが目的となる。
今回、死亡票の個人情報を利用したことに対するクレームは2件。同センターは「クレームは想定より少なく、有効回答は多かった」とし、人口動態調査の死亡票を利用したアンケートが有効だと判断した。
2019年初頭に実施する本調査は、2017年の人口動態調査を利用。予備調査では参考値程度にとどまった心疾患、脳血管疾患、肺炎、腎不全の対象者を増やし、がんとの比較を可能にする。がん以外の患者の治療背景を拾う質問を加える他、医療者の苦痛症状への対応が具体的にどのようなものだったのかを確認できる項目を追加する予定。
[ad_2]
Source link