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 日本耳鼻咽喉(いんこう)科頭頸部(とうけいぶ)外科学会と日本頭頸部外科学会などが、7月を「頭頸部外科月間」と定め、頭頸部がん予防と啓発活動を実施している。国内では年間約2万7000人が頭頸部がんを発症しているが、発症する部位がさまざまあり、予防法や治療法などが十分に知られていない。多くの人に頭頸部がんについて知ってもらおうと、ウェブサイトや講演会などで情報発信している。【永山悦子】


増加傾向の患者数


 頭頸部癌(がん)学会国際連合が2014年に7月27日を「世界頭頸部がんの日」に制定したことに合わせ、今年から国内の専門家たちが啓発活動を始めた。


 「頭頸部」とは、脳と目を除く首から上のすべての領域を指す。鼻、口、のどが含まれ、がんとしては、舌がんを含む口腔(こうくう)がん、咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどと診断される。一つ一つのがんの患者数は多くないが、頭頸部全体ではがん患者の約5%を占めている。


 最近は罹患(りかん)数が増加傾向にあり、特に口腔がん、咽頭がんが増えている。男性は50代後半、女性は60歳ごろから死亡率が高まるという。患者は男性が8割近く、男性に多くみられるがんだ。


 頭頸部がんの発症には、喫煙や過度の飲酒がかかわっていることが知られている。喫煙する人の咽頭がんの発症率は、吸わない人の32倍にもなる。また、口腔内を不衛生な状態で放置したり、虫歯があったり、合わない入れ歯、傷ついた歯のかぶせ物などによって慢性的に刺激されていたりするとがんを起こしやすいと考えられるため、口腔内の衛生状態を保つことも大切だ。また、子宮頸がんの原因として知られるヒトパピローマウイルス感染によって頭頸部がんを発症することもある。


QOLへの影響が大きいがん


 がんの症状は、部位によってさまざまだ。


 ・鼻腔・副鼻腔がん=鼻血、鼻水、鼻づまり、くさい鼻汁、顔のはれ、物が二重に見えるなど


 ・口腔がん=口内炎のような症状が続く、口の中がしみる、口の中にしこりがあるなど


 ・喉頭がん=声のかすれ、のみ込みづらい、息苦しいなど


 ・咽頭がん=鼻血、鼻づまり、眼球が動かしづらい、のどにしみる、のどが痛む、のみ込み時の違和感、血たん、声のかすれ、耳の周りの痛み、首のリンパ節のしこりなど


 ・甲状腺がん=頭部のしこりやはれ、呼吸困難感、声のかすれ、のみ込みにくさなど


 ・首の位置の食道がん=食べ物がつかえる感じ、熱い食べ物がしみる、のどの違和感など


 頭頸部には、呼吸や食事など人間が生きるために欠かせない機能が集まり、手術などで切除すると声を出したり、食べたり、聞いたりすることに障害が出て、QOL(生活の質)が大きく損なわれる恐れがある。


 一方、頭頸部がんについては、定期的ながん検診はないため、気になる症状や違和感があった場合は、早めの受診が勧められる。では、何科を受診すればいいのか。悩む人も多いかもしれないが、頭頸部の領域全体をカバーするのが耳鼻咽喉科だ。手術が必要になった場合は、頭頸部外科の専門医が担当する。最初の診断は、耳鼻咽喉科に相談するとよいという。


 頭頸部がんの中で最も多いのは口腔がんで、約3割を占める。そのうち半分が舌がんだ。頭頸部がん全体の5年生存率は64%。口腔がんと喉頭がんが71%、上咽頭がんが66%、中咽頭がんが64%、鼻腔・副鼻腔がんが55%、下咽頭がんが54%、甲状腺がんが95%などとなっているが、他のがんと同じように早期ほど生存率は高くなる。このため、早期の受診、治療が求められる。


 これらの知識や具体的な検査方法、治療方法などは、頭頸部外科月間のウェブサイトで紹介されている。


オンライン市民講座も


 また、昨年、米ベンチャー「楽天メディカル」が、頭頸部がん患者を対象に承認を受けた光免疫療法(がんに結びつきやすい薬剤を投与し、レーザーを当てて薬剤が反応することによってがん細胞が破壊される新たな治療法)を開発した。楽天メディカルジャパンは、世界頭頸部がんの日の27日にオンライン市民講座「知ってほしい 耳・鼻・喉・口・舌のがんのこと」を開く。日本頭頸部癌学会理事長の丹生健一・神戸大医学部付属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科教授が解説する。


 参加無料。申し込みは同社のウェブサイトから。


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