オミクロン株の起源に対する３つの仮説 | Joongang Ilbo | 中央日報

新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）の新しい変異株「オミクロン株」がヒト免疫不全ウイルス（ＨＩＶ））などで免疫が低下している人から出現したという主張が出てきた中で、南アフリカ共和国の科学者が起源の追跡に出た。

ＢＢＣは２１日、オミクロン株を初めて発見した科学者をはじめ、南アフリカ研究陣がＨＩＶ感染者の体内で新型コロナウイルスが数カ月間増殖している事例を確認したと報じた。

学界ではオミクロン株の起源に関して３つの仮説を提起している。▼ゲノム監視が粗末であるか、人々の医療サービスへのアクセスが難しい地域で変異株が出現した可能性▼免疫体系が弱くなった人の体内でウイルスが長く留まり、変異株を発生させた可能性▼ウイルスが人から動物に伝染して突然変異を起こした後、再び人を感染させた可能性－－などだ。

ＨＩＶ専門家であり南アフリカ新型コロナ諮問委員長を務めているコロンビア大学のサリム・カリム教授は、まだ証明されてはいないと前置きしつつ、免疫力が低下した患者とコロナ新変異株との間に関連があるというのは非常に信憑性のある仮説だと明らかにした。

「デズモンド・ツツＨＩＶ」財団を率いているケープタウン大学のリンダ＝ゲイル・ベッカー教授は「免疫体系が正常に稼動すれば浸透したウイルスをいち早く退治できるが、免疫力が低下した人の体内ではウイルスが長く留まり増殖する場合が多い」とし「その期間が長くなれば突然変異が発生する可能性も大きくなる」と説明した。

放送によると、南アフリカではＨＩＶ感染者が約８００万人に達するが、彼らのうち３分の１は抗レトロウイルス治療薬を服用しないでいる。今年初め、新型コロナ陽性診断を受けたある女性は８カ月間も陽性反応を示してきた。研究陣はウイルスが３０回以上増殖して遺伝的変化を起こすのに十分な時間だと説明した。

オミクロン株を発見した南アフリカ伝染病センターのトゥーリオ・デオリベイラ所長は同じような事例が英国など世界各地で１０～１５件見つかったとし、「非常に珍しいケースだが、免疫が低下した患者がウイルス進化の温床になった可能性が高い」と分析した。アルファ株の場合、英国で抗がん治療を受けていた患者と関連があると科学界は推定している。

だが「ＨＩＶ感染者によってオミクロン株が発生した」という説にはまだ議論の余地がある。ＨＩＶの他にも糖尿・がん・自己免疫疾患など免疫力低下の原因が多岐にわたるためだ。このためオミクロン株がＨＩＶ感染者が多いアフリカで初めて報告されたからといってこれを「アフリカ黒人」「ＨＩＶ」などと関連づけるのは妥当ではないとの指摘がある。

ベッカー教授は「これは世界的な問題」とし「ウイルスの感染が地球村でどのように起きるのかを理解し、我々がそれに対処する最善の方法はワクチン接種というメッセージを明確に伝達しなければならない」と明らかにした。

あわせて「新たな変異株の登場リスクを低めるためには免疫力が低下した人々にワクチンを優先的に接種することができるように全世界が協力しなければならない」とし「彼らに免疫反応が生成されるまで追加接種を継続することが変異株出現の可能性を減らす最善の方法」と付け加えた。