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   新型コロナウイルスの感染拡大は、感染者数の増加だけではなく、さまざまなところに影響を及ぼしている。

   横浜市立大学の研究グループは2022年3月2日、新型コロナの影響により、がん患者の診断患者数・切除患者数が大幅に減少している、という研究結果を発表した。

  • がんの早期発見、早期治療を心掛けて(写真はイメージ)

    がんの早期発見、早期治療を心掛けて(写真はイメージ)

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医療機関への受診を控えたことが影響

   研究は、全国のがん患者の7割をカバーする国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録全国集計」のデータ解析によって行われた。

   診断数の多い10種のがんを解析対象とし、2016~2019年度の患者数から推定される2020年度の予想値と、実際の診断患者数を比較したところ、患者数の多い食道がん・胃がん・大腸がん・直腸がん・非小細胞肺がん・乳がん・ 前立腺がん・子宮頚がんの8がん種で、診断患者数・切除患者数が大幅に減少していることを確認した。

   各がんにおける診断患者数の減少数と減少割合は、食道がん2377人(9.2%)、胃がん1万879人(12.0%)、大腸がん8071人(8.3%)、直腸がん3714人(8.6%)、非小細胞肺がん7189人(7.7%)、乳がん6942人(8.1%)、 前立腺がん7748人(11.5%)、子宮頚がん2559人(8.4%)となっている。

   また、膵がんと膀胱がんでも、966人(3.1%)、1386人(4.1%)の減少が確認されている。この結果、5万1840人のがん患者が診断を受けられなかったと推定される。

   さらに、診断患者数の減少は、進行がんよりも早期がんでの診断数の減少割合が多くなっている傾向があり、がんの早期発見を阻害している。

   診断患者数の減少は、新型コロナの感染拡大により、とくに2020年では患者自身が医療機関の受診抑制を行ったためと考えられる。

「切除治療の機会を失った」がん患者の実態

   さらに、研究ではがん切除患者数の大幅な減少も確認された。

   各がんにおける切除患者数の減少数と減少割合は、食道がん1375人(12.6%)、胃がん8176人(14.1%)、大腸がん6032人(9.2%)、直腸がん2346人(9.3%)、非小細胞肺がん3959人(10.9%)、乳がん1701人(10.9%)、 前立腺がん2116人(12.1%)、子宮頚がん2494人(12.0%)となっている。

   また、膵がんと膀胱がんでも、247人(7.9%)、373人(3.0%)の減少が確認されている。この結果、2万8817人ががん切除の機会を失ったと推定される。

   筆者は、2月13日の「ここにも新型コロナの影響…なぜ「あの犯罪」は増加したのか?(鷲尾香一):J-CAST 会社ウォッチ」で、警察庁の令和3年(2021年)の犯罪統計資料から、新型コロナの感染拡大がDV(家庭内暴力)と児童虐待が増加している可能性を指摘した。

   今回の横浜市立大学の研究結果も、新型コロナが受診抑制という行為を通じて、がん患者の治療に大きな影響を与えていることを示している。

   研究チームでは、「2020年度の新型コロナを直接原因とする死亡数は3492人であり、その8倍のがん患者が切除治療の機会を失った」と指摘している。

   そのうえで、「低用量胸部CT(肺がん)、便潜血(大腸がん)、パップテスト(子宮頸がん)、マンモグラフィー(乳がん)等のマススクリーニングは死亡リスクを減少させることが以前から知られている。この研究が健康診断実施・受診の促進につながればよいと考えている」とコメントしている。

   なお、この研究成果は2月10日、英文医学誌「European Journal of Cancer」に掲載された。

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