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「がんフォト*がんストーリー」は、がん経験者、家族・友人、がんに関わる医療従事者から写真とストーリーを募集し、ウェブサイトや会場で公開する活動に取り組んでいます。
がんは、大変な病気です。つらいことはたくさんあるし、命を失うかもしれません。しかし、がんになっても人生の全てが消え去るわけではありません。それどころか、人との絆をより深く感じられたり、道端の花の美しさに気づけたり、これまで見逃していた日常の小さな喜びを見つけられることも多くあります。それらは、とても大切な心のあり方を教えてくれるもの。
「もしそこに目を向けられたら、がんを取り巻く世界は少し違ったものになるはず」。そんな思いから、私たちの活動はスタートしました。
がん経験者、家族・友人、医療従事者が“思い”を共有
「ちょっとすてきな“がんのリアル”が見える写真展」――それが、がんフォト*がんストーリーです。
私たちが集めているのは「つらかった思い出」ではありません。困難な経験の中で見つけた、「ちょっとすてきな瞬間」をまとめています。
様々な立場の人を応募対象としていることにも、理由があります。患者、家族・友人、医療従事者は、それぞれがまったく違う思いを抱えています。ところが、お互いにその気持ちを知らないでいることが、とても多いのです。作品を通して、それぞれの心の内を共有する場になればと考えました。
いずれの作品も、心がじんわりと温かくなったり、「すごい!」と感動したり、クスッと笑えたりする、人の思いが伝わるものばかり。写真展では、作品を見て気持ちが込み上げて涙する人もいます。しかし、それは悲しみからではなく、「生き方にグッときた」「勇気をもらった」と話す人がほとんどです。
ワクワクするような空間でイベント開催
がんフォト*がんストーリーでは、年に1回程度、会場を設けて、写真の作品展、ワークショップ、交流会などが一緒に楽しめる「写真展イベント」を開催しています(2021年11月は、リアル+オンライン配信のイベントを開催。そのほか、コラボイベントやブース出展多数)。
イベントで基本としているのは、行くだけでもワクワクするような立地に加え、誰でも入れるオープンな会場であること。これまで、古民家や路地裏、カフェを併設したおしゃれなギャラリー、歴史あるレンガ建築を会場としてきました。がん経験者や家族が楽しいだけでなく、がんに関心がない人も入りやすい空間を常に意識しています。
それは、「世の中の、“がん”のイメージを変えていきたい」という思いが、活動の根本にあるためです。「ふと入った会場で、気づけば展示されているのはがんに関わる人の作品で、たまたま話をした人ががん患者さんだった!」となることを期待していました。実際に、「がんの人と初めて話した」という人もいました。本で読む知識や想像ではなく、自分自身の経験として「がんのリアル」を心に刻んでもらいたいと思っています。
ピアノ演奏を乗せたスライドムービーが好評
近年では、さまざまな人、団体、学会などが活動に協力してくれるようになりました。作品のスライドムービーに、オリジナルのピアノ曲をつけた「オトフォト・プロジェクト」は特に好評で、学会とのコラボレーション制作や、医科大学などでの上映も行っています。
私たちは、「がんと向き合うにも、いつもしかめっ面をしていなくてもいい」と考えています。がんを楽しく知ったっていいし、笑顔で過ごしたっていい。それぞれに、自分なりのすてきな人生を送ってもらえたらと思います。
がんフォト*がんストーリー
木口マリ代表(子宮 頸 がん経験者、写真家・文筆家)とHANAさん(看護師)が共同で始めた病院内写真展を発展させ、2016年、オンライン写真展「がんフォト*がんストーリー」を設立した。クラウドファンディングで開催した第1回写真展イベントが好評を得て、新聞、雑誌、ラジオなど、様々なメディアで取り上げられた。日本サルコーマ治療研究学会、日本希少がん患者会ネットワーク、企業、行政機関などとのコラボレーション多数。応募作品は、随時ウェブサイトに掲載中。
ホームページ https://www.ganphoto-ganstory.com
動画 https://www.youtube.com/channel/UC0VrN2lOWTc7yKR333EnFXg
このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。
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