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イラスト・叶  悦子

◎婦人科 徳永 英樹 准教授

 婦人科で診療に当たるがんには子宮頸(けい)がん、子宮体がん、卵巣がんなどがあります。肺がんや胃がん、大腸がんなどと比べると患者数は多くはありません。ところが20~50歳くらいに限ってみると、がんと診断された女性のうち、乳がんが3分の1、子宮と卵巣のがんが合わせて3分の1と、女性特有のがんが3分の2を占めます。医療技術の発達や新薬で治療成績は向上していますが、予防に越したことはありません。

■定期接種を勧奨

 子宮頸がんの大部分はヒトパピローマウイルス(HPV)感染がきっかけで発生することが分かっています。HPVの遺伝子がヒトの細胞に組み込まれる現象が起き、がん化につながると考えられています。

 このような発がんリスクの高い型に対するワクチンが開発されており、小学6年~高校1年の女性は公費による定期接種の対象となっています。HPV感染を抑えることで将来の子宮頸がん罹患(りかん)リスクが低下します(1次予防)。一時的に接種勧奨が中断されていましたが、2022年4月に再開されています。

 勧奨の差し控えで接種機会を失った年代(1997~2005年度生まれ)の方には、公費による接種機会が提供されることになっています。

 子宮頸がんは初期段階では自覚症状もなく、自身で気付くことはできませんので検診の受診が重要です。がんになったとしても早期発見(2次予防)できれば治癒の可能性が高くなります。子宮頸がん検診で死亡リスクを下げる効果が実証されています。

■遺伝情報を活用

 卵巣がんには遺伝するタイプもあります。遺伝性乳がん卵巣がんという言葉をご存じでしょうか? BRCAという遺伝子は誰もが持っていますが、生まれつきBRCA遺伝子に変異を持っていることが原因で、一般の人より卵巣がんや乳がんなどを発症する可能性が高くなる疾患です。

 卵巣がんの10~15%がBRCAの変異によるものです。この遺伝子変異が判明している場合には、予防的な乳房切除や卵巣の摘出で発がんリスクを激減させることが可能です。手術には適応条件があるため一律には勧められませんが、個人の遺伝情報に基づいた予防の一つです。

 子宮体がんには1次予防はないものの、不正出血などがきっかけで発見されることが多く、早い段階で診断される割合が高いため治癒する可能性が大きいがんの一つです。月経の周期、量などの異常に注意して心配な時は産婦人科で受診してください。閉経期以降の50代に発生することが多いため、「久しぶりの生理」という時は要注意です。早期がんの見込みが高ければ内視鏡手術も可能です。

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