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心臓移植を待つ日々の不安を、

和らげるためにできること

 

日本における心臓移植後の生存率は世界に誇れるほど良好な水準ですが、ドナー不足により移植の待機期間は平均4年を超え、5年以上の待機を必要とする患者さんは少なくありません日本心臓移植研究会 日本の心臓移植レジストリ

 

心臓移植を待つ患者さんは長期の入院治療での待機を余儀なくされ、入院中は手術や痛みを伴う処置・検査を繰り返し受ける必要があります。子どもの患者さまであれば、心身に与える負担はさらに大きくなります

 

学生以上など、ある程度の体格があれば植込型補助人工心臓を装着して在宅で移植を待つ若い患者さんもいますが、待機中繰り返し入院治療を必要とすることも珍しくありません。

 

心臓移植を必要とする重症の心臓病を持つ患者さんはそもそも生命予後が不良であり、またコロナ禍での面会制限により直接患者さんと御家族が顔を合わす機会が減るなど、患者さんご本人もご家族も常に大きな不安や寂しさを抱えながら日々の治療を受けています。

 

移植を受けたあと経過が良好なお子さん。移植を待つ日々を耐え抜きました

 

私たち、国立循環器病研究センターは、当院に入院している重症心不全患者さまのそうした不安を少しでも緩和し、安心して治療を受けられる環境を作るために、患者さまの心のケアを専門とする体制構築と、生活を彩るさまざまなレクリエーションの実施を強化することにしました。

 

しかし、体制の強化に不可欠なチャイルド・ライフ・スペシャリスト(Child Life Specialist: CLS)臨床心理士といったプロフェッショナルの雇用には大きな費用がかかるだけでなく、その分は完全に病院の持ち出しとなるため、経済的に非常に難しいのが現状です。そこで今回、クラウドファンディングにて、体制強化の費用を募ることといたしました。

 

一般の方々の生活では当然、心臓移植を待つ方々と触れ合う機会はあまり多くないと思います。今回の挑戦を通して、重症心不全の患者さまがどのような生活を送っているか、どのような不安を抱えているか、どんな幸せを求めて待機の日々を過ごしているかなど、想いを馳せていただけますと幸いです。

 

温かいご支援を、よろしくお願いいたします。

 

 

目次————————————–

・重症心不全の患者さまへの、心のケアの必要性

・患者さまの苦痛や不安を緩和する、プロフェッショナルの雇用

 – チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の雇用

 – 臨床心理士の雇用

・病院での生活にも、「幸せ」を

・応援メッセージ

・寄附金の控除について

・プロジェクトに関するご留意事項

———————————————

 

 

重症心不全の患者さまへの、心のケアの必要性

 

ページをご覧いただきありがとうございます。国立循環器病研究センター 移植医療部 部長の塚本 泰正と申します。心不全、心臓移植、補助循環、人工心臓、成人先天性心疾患などを専門とし、日頃より個々の患者さんに応じたベストな治療を常に考え、丁寧な説明を心がけています。

 

左:渡邉 琢也( 移植医療部 医長)  右:塚本 泰正

 

なぜ、今回のような取り組みに挑むのか、まずは私の考えをお話しさせてください。

 

若い頃の私は、ただただ「患者さんの命を救う」ことを最優先に診療に従事してきたように思います。医師として「命を救う」ために診療することは当然です。

 

しかし、長い闘病生活の果てに、家にも帰れず亡くなってしまう患者さんのそばにいると、本当に患者さんにとってその闘病がよかったのだろうか、救命のためとはいえ、実は患者さんに辛く苦しい治療を強いてきたのではないか、と自問自答するようになりました。

 

時を経て今、私は「命を救う」ことはもちろんですが、「患者さんの幸せ」のために、診療に従事していきたいと考えています。

 

心臓移植を受け、経過が良好なお子さん
患者さんのご不安を一つ一つ解消するために詳しく説明

 

移植を待つために痛みや苦しみを伴う検査や手術を受け、長く入院治療を続けることは、決して容易なことではありません。何のために患者さんに辛く苦しい思いをしてもらっているのでしょうか?今の私は、その先にある「幸せ」をつかむためだと思っています。

 

移植を受けた後の患者さんは、健常者であれば当たり前かもしれない「ありふれた日常」に幸せを感じています。心不全によりできなかったことへ取り組める日々に、喜びを感じています。そして、その幸せをもたらしてくれたドナーさんに深く感謝されています

 

外来などでそのようなお話しを聞けることは私たちにとっても喜びです。患者さんとその家族の幸せのために、私たちはチーム一丸となって支援していきたいと思います。

 

 

 

従来より、日本における心臓移植の待機期間は海外と比べて非常に長く、先の見えない不安に直面している患者さんを目の当たりにしてきました。

 

この待機期間が年々長期化していくことに加え、コロナ禍でご家族との面会が制限されたり、病棟内での患者さん同士のコミュニケーションが減少したりするなど、入院中の患者さんにとって心のよりどころが少なくなっていると感じていました。

 

そんな中で、長期入院治療を必要とする小児や若年成人の患者さんへの心のケアが特に重要だと考え、今回のプロジェクト発案に至りました。

 

 

患者さまの苦痛や不安を緩和する、プロフェッショナルの雇用

 

チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の雇用

 

アメリカでは心臓病に限らず、子どもの患者さんが感じる苦痛や不安を最小限に留め、治療を受けられるよう支援する、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(Child Life Specialist: CLS)という職種があります。

 

患児の治療に寄り添うCLSさん

 

このCLSは、遊びを通じて処置や検査時の子どもの不安やストレスを軽減したり、子どもの成長発達に応じて医療への理解を深めるサポートをしたり、子どもに優しい医療環境を整備したりします。

 

また患児だけでなく、そのきょうだいやご家族たちにも支援を行うなど、小児の診療において非常に重要な役割を担っています。CLSになるためにアメリカやカナダの大学院課程において600時間以上の医療現場での研修や認定試験合格を必要とするなど、非常に高い専門性を持った職種です。

 

アメリカでは多くの病院やクリニックでCLSが活躍しており、日本の小児の医療現場においてもCLSによる支援が強く望まれますが、日本では国家資格でないこともあり、安定した雇用につながっていません

 

現在、国立循環器病研究センターでは、小児入院患者を支援する職種として、病院雇用の保育士1名が在籍しております。また、重症心不全に関連した研究の費用からCLS1名の雇用費を捻出し、不定期で雇用してきておりましたが、2023年度中からの費用および雇用が確保されておりません。

 

医師とCLSの連携の様子。お子さんが安静を保って診察や検査を受けられる環境をつくる

 

CLSの安定的な雇用には大きな費用がかかる一方、診療報酬に反映されず、費用は全て病院の持ち出しです。現在の物価・インフラ高騰の影響などにより病院運営予算が厳しくなる中、その費用を全て病院が持つことは、非常に難しくなってしまいました。

 

しかし、患児の日常的な負担を考えれば、保育士1名で全ての患児をケアするのは困難であり、新たにCLSを雇用したいと考えています。

 

検査中に患児の不安を和らげるCLS

 

この写真は、患児の不安を和らげるCLSの様子です。痛みを伴う検査を行う際には眠たくなる薬を投与することが多いですが、年齢や病状(鎮静による呼吸抑制のリスクなど)によっては眠くなるお薬を使わず、痛み止めの薬のみを使って検査を行います。

 

その際に、CLSは患児に事前に検査の流れについての必要な情報をお話しし、検査中の過ごし方を一緒に考えて検査に臨んでいます。このような関わりを通して、CLSは患児の不安を和らげ円滑に検査を進めることができます。

 

 

ぬいぐるみを使って人工心臓の仕組みや処置方法を説明

 

このように、CLSに活躍してほしい場面は日常的にあるのです。

 

検査や手術の場面だけでなく、治療外の時間に一緒に遊ぶ中で、患児の苦痛を緩和しながらストレスの原因を見つけ出し、子どもたちが持つ力を引き出すことで傷ついた心の回復につなげるといった、継続的な支援も提供してくれます。

 

当院に限らずCLSを全国的に普及させるには、まずCLSの存在を認知してもらうことが必要です。今回のプロジェクトを通じて、CLSがいることで実現する質の高い医療の必要性を広めたいと考えています。

 

国立循環器病研究センターのCLSさんに宛てられた患者さんからのお手紙

 

 

臨床心理士の雇用

 

子どもの患者さんだけでなく、思春期・若年成人の患者さんの心のケアも必須です。子どもたちの場合は、目の前の治療の苦痛に対する不安が大きいのが特徴ですが、思春期・若年成人の方々の場合は、将来に対する不安が大きくなってきます。

 

こうした不安を和らげるために必要なのが、臨床心理士です。

 

患者さんのお話を聞く臨床心理士
患者さんのお話を聞く臨床心理士

 

臨床心理士は、心身の疾患の有無にかかわらず、広くこころの健康を保つために様々なサポートをする仕事をしています。サポートの方法は大きく分けて3つあります。

 

臨床心理士/公認心理師のサポート

①見立て

支援を必要とされる方がどのようなことに困っているのか、その原因は何かを一緒に探しながら、困りごとの全体像を明らかにすること(困りごとのヒアリングや心理検査、作業場面の観察など)。

 

②直接支援

支援を必要とされる方と個別または複数で対話や作業を通じて、困りごとを解決したり、減らしたりすること(個別のカウンセリングや、共通の困りごとに対するグループディスカッションなど)。

 

③間接支援

臨床心理士とだけ困りごとに対応するのではなく、様々な専門家や同じ境遇の方々などと一緒に、困りごとの解決や軽減を図ってゆくこと(臨床心理士はコーディネーター役に)。

 

例えば、10代後半女性の患者さんから「最近イライラが続き、夜も十分に眠れない」と実際に臨床心理士へ相談があったときのこと。お話ししてくださったことに対する感謝を臨床心理士が伝え、そこから悩みの全体像や背景を患者さんと臨床心理士さんとで一緒に具体化していきました。

 

進学や交友関係で悩む時間が多く、食事を摂る時間や月経の周期も乱れているといったデリケートな問題だったために、周りの方に相談できなかったことがわかり、どのように考え、行動すれば悩みが解決・軽減するかを一緒に話し合ってゆきました。

 

 

また、とある50代後半の男性の方からの相談は、「何かしら」の解決や軽減を求めるものではなく、「とりあえず」相談したい、というものでした。

 

仕事と病気の治療との両立の中で、ご自身の仕事へのプライドがある一方、治療のために仕事をストップする必要があることに葛藤を抱えておられました。

 

この男性の場合、お仕事関係の方、就労支援の専門職、男性のご家族などと何度も話し合いながら、ご本人のこれまでのキャリアを生かしつつ、治療との両立可能なポストでの仕事にシフトすることができました。

 

このように、悩みの具体度や複雑性、患者さんの置かれている環境に応じて、心に寄り添うことは極めて重要です。患者さんと医師が治療に専念するために、臨床心理士さんの雇用は喫緊の課題だと考えています。

 

 

病院での生活にも、「幸せ」を

 

2022年10月、当センター大津理事長の発案で、入院中の成人患者さんのためにバイオリン奏者による演奏会が院内で開催されました。

 

長期入院中の患者さんたちからは「家族との面会や患者同士の交流ができずしんどい日が続いていたが、素晴らしい演奏で心が豊かになった」「演奏に夢中になり、病気でつらいということを忘れられた。(闘病を)がんばっていきたい」などの声が聞かれました。

 

 

この演奏会が孤独に闘病する患者さんたちの心の癒しにつながったと感じ、今後もこうした機会を設けたいと強く思ったことが、院内レクリエーション充実化の始まりです。

 

患者さんからは、「お笑い芸人を呼んで思いっきり笑いたい」「カラオケで大声を出したい」などのストレス発散企画や、「出張で散髪などに来てくれるサービス」などの要望もありました。

 

 

実際、長期入院中の患者さんの日常にも笑顔がないわけではありませんが、日々の変化に乏しく、刺激の少ない毎日を過ごすことを余儀なくされています。

 

入院患者さんが求めるのは、一生に一度の大イベントではなく、一般の方々であれば当たり前だったり、ちょっと足を伸ばせば手が届くような、「ありふれた日常」です。また、子どもたちであれば、広い世界を想像できたり、自分の夢にワクワクできる瞬間です。

 

ボールで遊ぼうとする女児。左側にあるのは腹部の人工心臓とつながる制御機器

 

もちろん、病院はあくまで治療を行う場であり、どれだけ私たちが取り組んでも、患者さんが日常生活を送っていた自宅や公園、幼稚園、学校や職場など、家族や友人などに囲まれた環境に勝るものを作ることはできません。

 

しかし、患者さんが少しでも不安なく入院生活を送れる環境の整備は絶対に必要です。こうした活動の資金はCLSや臨床心理士の雇用費と同様、昨今の社会情勢により予算が引き締められていますが、患者さんの大事な日々を彩る時間を、一時の社会情勢によって潰すことはできません

 

今回のクラウドファンディングでは、まずは世間のみなさまに患者さんの病院生活を知っていただき、患者さんを支えるCLSや臨床心理士、生活を彩るレクリエーションなど、患者さんを取り巻く環境にも光を当てたいと思います。

 

患者さんの生活に「幸せ」を増やすためには、どうしてもみなさまのお力添えが必要です。どうか温かいご支援を、よろしくお願いいたします。

 

応援メッセージ

 

森原大紀さん

NPO法人グリーンリボン推進協会 理事

私は20代後半に特発性拡張型心筋症を発症し、植込型補助人工心臓を付け、数年前に心臓移植を受けました。移植待機の長い年月は、体調面と同時に、心理面での不安とも闘う日々でした。「本当に移植まで辿り着けるのかな?」「この生活はいつまで続くのかな?」そんな悩みを家族にすら話せず1人で抱え込み、急に苦しくなることもありました。  

 

大人の私でさえそのような状況だったので、小児や若年患者さんの負担の大きさは想像してもらえると思います。 今回のプロジェクトにより、日々の闘病生活の中で、小さな楽しみや心の拠り所を見つけ、心臓移植待機生活を少しでも前向きに心穏やかに過ごせることを祈っています。

 

 

 

大崎幸一さん

中学校教諭(心臓移植者・写真中央上)

私は子どものときにアメリカで心臓移植を受けました。その際、CLSの方には大変お世話になりました。何度も病室に来てもらい、面白い話や、面白い事をしてもらい、心を支えて頂きました。一緒にWii sportsやギターを弾くゲームをしたのは、とても良い思い出です。

 

日本の病院でも、このようなCLSの方がいらっしゃれば、病と闘う患者さんにとって、大きな心の支えになることと思います。心より応援しております。

 

 

寄附金の控除について

 

ご寄付については、確定申告していただくと税制上の優遇措置を受けることができます。

●法人様

寄付金の全額が損金算入できます。

 

●個人の皆様
2千円を超える部分については、その超えた金額が当該年の所得から控除されます。
ただし、寄付金の額が総所得金額の40%を超える場合は、40%を限度とします。

詳細情報は以下の文部科学省のホームページをご覧ください。
寄付金関係の税制について(文部科学省ホームページ)https://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/06051001.htm

 

※寄付金領収書に記載の日付は、READYFORから当センターに入金のある2023年8月10日を予定しております。また、寄付金領収書の送付は2023年9月頃を予定しております。

 

プロジェクトに関するご留意事項

 

・ご寄付のお手続き時に「応援コメント」としていただいたメッセージは、本プロジェクトのPRのために利用させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

 

・寄付金領収書及びギフト等に掲載のお名前は、「ギフトお届け先」にご登録いただいたお名前となります。ご寄付後にアカウント情報を変更した場合でも、ご寄付時に入力したお届け先の宛名と住所は変更されません(個別にご連絡いただかない限り、原則としてご寄付時に入力いただいた宛名と住所に寄付金領収書をお送りさせていただくことになります)のでご注意ください。

 

・本プロジェクトのギフトのうち、【お名前掲載】に関するギフトの条件詳細については、リンク先(https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix)の「支援契約」の中にある「●命名権、メッセージの掲載その他これに類するリターン」をご確認ください。

 

・本ページに掲載のお写真は、すべて写っている方から許諾を取って掲載しております

 

 

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