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本研究成果は、「Family Practice」に掲載されました。(2023年4月28日オンライン)
研究成果のポイント
研究背景
孤独は「本人が望ましいと考える社会的な繋がりと実際の状況に乖離があると感じている状況」と定義されており、身体的・精神的な健康や死亡率にも影響することが分かっている世界的な健康課題です。かかりつけ医療機関は孤独を発見したりその度合いを評価したりすることが出来る場所の一つとして重要な役割を担っており、コロナ禍においてもその機能は重要と考えられます。そこで本研究ではかかりつけ医療機関の有無やその機能と孤独の度合いとの関連を調べました。
研究内容
本調査は2022年1~3月の新型コロナウイルス感染症第6波の最中に実施され、対象者のうち、かかりつけ医療機関を持っている方は55.8%でした。年齢、性別、学歴、世帯年収、主観的健康観、家族構成、慢性疾患の有無を調整してかかりつけ医療機関の有無やその機能と孤独の度合いとの関連を検証したところ、かかりつけ医療機関を持っている方はそうでない方に比べて孤独の度合いが0.34点低く、またかかりつけ医療機関を持っている方の中でも質の高いかかりつけ医機能を表すPCPCMのスコアが1点高くなると孤独の度合いが0.56点低くなる傾向にあることが分かりました。また、この傾向は男女別、年齢別(65歳以上、未満)で見ても同様でした。(図1参照)
今後の展開
孤独は多くの要因が関与する複雑な状況ですが、かかりつけ医療機関の有無やその質が孤独の度合いと関連することが明らかになりました。本研究は横断研究であり、一時点のみの調査であるため、かかりつけ医機能を向上させることで孤独の度合いが軽減するかについては今後さらなる研究が必要となります。
用語説明
https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2021/20220330gotoryo.html
*2 患者中心のプライマリ・ケア評価尺度(PCPCM):
プライマリ・ケア(身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療)は、病気に至る前の状態での健康相談や予防医療など、幅広い領域にまたがる。その質の評価尺度PCPCM(Person-Centered Primary Care Measure)は、患者さんの視点からプライマリ・ケアの医療機関の質を評価する質問紙で、11項目という少ない質問数でプライマリ・ケアにとって重要な11の領域を評価できる点、プライマリ・ケアの質を国際的に比較出来る点が特徴となっている。
横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻 金子惇講師らの研究グループがPCPCMの日本版を開発し、2022年5月に発表。
https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2022/202205kanekomakoto.html
*3 UCLA孤独感尺度3項目版:
University of California, Los Angeles Loneliness Scale(UCLA LS)は、1978 年に Daniel W. Russell 博士が開発した自記式孤独感尺度で、孤独感を評価するための尺度として国際的に使用されている。日本でも、UCLA 孤独感尺度日本語版や、10 項目・3 項目の短縮版が開発されている。
https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1186%2Fs12905-019-0792-4/MediaObjects/12905_2019_792_MOESM2_ESM.pdf
研究費
本研究は、横浜市立大学学長裁量事業 第5期戦略的研究推進事業「研究開発プロジェクト」の支援を受けて実施されました。
論文情報
著者: Makoto Kaneko, Satoru Shinoda, Izumi Nakayama, Juan Xu, Susumu Yagome, Atsushi Goto
掲載雑誌: Family Practice
DOI: https://doi.org/10.1093/fampra/cmad049
お問合せ先
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