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新型コロナウイルス感染症治療薬の「ゾコーバ錠125mg」(一般名:エンシトレルビル・フマル酸)については「妊婦や妊娠している可能性のある女性には投与できない」などの留意点があり、製薬メーカーが再三にわたり資材を提供して注意喚起を行っている—。
しかし、ゾコーバ錠を投与した後に「妊娠していた」ことが判明する事例が、新たに複数発生している—。
医療機関では、資材を適切に活用して「患者が妊娠している可能性のない」ことを改めて確認し、適正使用を徹底してほしい—。
厚生労働省は6月29日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ゾコーバ錠 125mg)の使用にあたっての注意喚起に係る追加の情報提供(資材の活用の徹底について)」を示し、医療現場に改めて注意を呼びかけました(厚労省サイトはこちら)。
新型コロナウイルス感染症が5月8日に5類に移行し、外出自粛制限などを廃止するとともに、幅広い医療機関で他の5類疾病(季節性インフルエンザなど)と公平性を確保した医療提供が始まっています(関連記事はこちら)。
もっとも、5類移行で「コロナウイルスが危険性のないものになった」わけではありません。「沖縄県でコロナ感染症が再燃し、医療提供体制が逼迫している」こと、「日本全体として第9波の入り口に入っている可能性がある」ことなどが指摘されます。このため、状況にマッチした「感染防止策」と「医療提供体制の確保」が重要テーマであることに変わりはありません。
後者の医療提供体制に関しては、「重症患者等を受け入れる病床の確保」「重症患者等に対応するための人材確保」などが行われているほか、治療薬の開発も進められています。そうした中で、重症化リスクのない軽症者にも投与可能で、取り扱いが比較的容易な経口剤である「エンシトレルビル・フマル酸」(販売名:ゾコーバ錠125mg)の使用も進んでいます。
ただし、Gem Medでも繰り返し報じているとおり、本剤には「妊婦または妊娠している可能性のある女性」が禁忌であるなど、使用に当たって留意すべき事項も少なくありません。このため、製薬メーカーが留意点を明示した資材を作成し、医療現場に適正使用に向けた注意喚起を行っています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。
しかし、本剤投与後に「妊娠していた」ことが判明する事例が新たに複数発生していることが判明しました。本剤は、動物実験において「催奇形性の可能性」が指摘されていることから、妊婦や妊娠している可能性のある女性に投与した場合、児に大きな影響が出てしまう可能性があります。
厚労省は事態を深刻に受け止め、今般の事務連絡において改めて次の点に留意し、ゾコーバ錠の適正使用を務めるよう医療現場に強く要請しています。
▼メーカーによる「妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、または妊娠する可能性のある女性に関するお願い」の「ゾコーバ錠125mgを服用する際の事前チェックリスト」、「ゾコーバ錠125mgを処方された女性の患者さん及びそのご家族向けの資材」を活用すること
▼資材が活用され、かつ同意が得られている事例においても、処方時点では「患者が妊娠の可能性」に気付いておらず、服薬後に妊娠が判明する事例が複数報告されている
→妊娠している可能性(前回月経後に性交渉を行った場合は妊娠している可能性があることなど)について、入念に説明、確認を行うこと
▼本剤は用法・用量に従い5日間服用することが重要であるため、服薬状況を確認し、万が一残薬が生じた場合は、必ず廃棄するか薬剤師に返却するよう、患者への指導と対応を行うこと
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