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エーザイ株式会社

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA

   

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(北米以外ではMSD)は、このたび、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)の併用療法について、PD-L1陽性の再発または転移性頭頸部扁平上皮がんの一次治療として評価する臨床第Ⅲ相試験(LEAP-010試験)の状況についてお知らせします。

 

 本試験の主要評価項目は、全生存期間(Overall Survival: OS)、無増悪生存期間(Progression-Free Survival: PFS)および奏効率(Objective Response Rate: ORR)であり、独立データモニタリング委員会により11カ月間に2回の中間解析が行われました。1回目の中間解析において、本併用療法は、PFSおよびORRについて、「キイトルーダ」単剤療法(プラセボ+「キイトルーダ」)に対して、統計学的に有意な改善を示しました。2回目の中間解析において、本併用療法は、「キイトルーダ」単剤療法(プラセボ+「キイトルーダ」)に対しOSの改善を示さず、両社は、プロトコルで指定されたOSの統計学的有意性の閾値に達する可能性は低いと判断しました。これらの結果に基づき、両社は、本試験を中止することを決定し、治験責任医師への伝達を開始しました。本併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているデータと同様でした。現在、本試験データに関する事前に計画された部分集団解析を含むすべての評価を進めており、本試験の結果については治験責任医師と協力し、サイエンティフィックコミュニティに共有する予定です。

 

 Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA研究開発本部グローバル臨床開発のバイスプレジデントであるGregory Lubiniecki博士は、「LEAP-010試験では、本併用療法が、転移性、または切除不能再発頭頸部扁平上皮がんにおいて、すでに確立された治療選択肢であるキイトルーダをベースとした治療レジメンをさらに改善できるかどうかを検討することを目的としました。本試験において、本併用療法は無増悪生存期間について期待される結果を示しましたが、残念ながら、患者さんの全生存期間の延長にはつながりませんでした。我々は、本試験から得られた知見を、本併用療法のさらなる研究のために活用していきます」と述べています。

 

 Eisai Inc.オンコロジーグローバル臨床開発のシニアバイスプレジデントであるCorina Dutcus M.D.は、「早期段階の中間解析において、レンビマとキイトルーダの併用療法が、2つの主要評価項目を達成していることに勇気づけられていましたが、残念なことに、3つめの主要評価項目である全生存期間については統計学的有意性の基準を満たしませんでした。我々の臨床プログラムは、治療が困難な進行がんへの取り組みを加速するように設計されており、それらの結果が常に我々の期待通りになるとは限りませんが、我々は臨床開発の難しさを理解し、今後も患者様によりよい治療法を提供するための科学的探求に取り組んでいきます」と述べています。

 

 本併用療法は、日本、米国、欧州をはじめとする世界各国において進行性腎細胞がんおよび進行性子宮内膜がん(日本においては子宮体がん)に係る適応で承認を取得しています。 「レンビマ」は、欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。両社は、LEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを通じて、本併用療法の子宮内膜がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、胃がん、食道がんを含む様々ながん種における複数の臨床試験を実施中です。「キイトルーダ」は日本、米国、欧州、中国を含む世界各国で、転移性または切除不能な再発頭頸部扁平上皮がん患者様に対する単剤療法および併用療法として承認されています。

 

 今回のLEAP-010試験の結果は、本併用療法の現在承認されている適応症、ならびにプラチナ療法と免疫療法後に増悪した再発または転移性頭頸部扁平上皮がんを対象として本併用療法と化学療法を比較するLEAP-009試験を含め、他の進行中のLEAP臨床プログラムの試験に影響を与えるものではありません。

 

以上

  

  

本件に関する報道関係お問い合わせ先

 <参考資料>

 LEAP-010について 

 本試験(ClinicalTrials.gov, NCT04199104)は、PD-L1陽性の再発または転移性頭頸部扁平上皮がんの一次治療として、「キイトルーダ」単剤と比較して「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法を評価する、無作為化、プラセボ対照、二重盲検の臨床第Ⅲ相試験です。本試験の主要評価項目は、OS、PFSおよびORRの3つです。PFSとORRは、最大計10個の標的病変および各臓器最大5個の標的病変の評価を行うよう変更されたRECIST v1.1(固形がんに対する腫瘍径の変化を効果判定に用いる評価基準)に基づく盲検下独立中央画像判定により評価されました。本試験には511人の被検者様が登録され、次の投与群に1:1で割り付けられました。

・「レンビマ」(20 mg、1日1回経口投与)/「キイトルーダ」(200 mg、3週ごとに静脈内投与)の併用

・プラセボ(1日1回経口投与)/「キイトルーダ」(200 mg、3週ごとに静脈内投与)

 両群ともに、「キイトルーダ」は、治験実施計画書で規定された投与中止基準に該当するまで、最大で35サイクルまで(約2年)投与されました。「レンビマ」は、2年間の併用療法終了後、治験実施計画書で規定された中止基準を満たすまで、単剤として投与することも可能でした。

 

頭頸部がんについて

 頭頸部がんは、喉、喉頭、鼻、副鼻腔および口の中またはその周辺で発症する多数の異なる腫瘍の総称であり1、ほとんどの頭頸部がんは、頭頸部の構造の薄い表層を構成する平らな扁平上皮細胞から発生する扁平上皮がんです1。頭頸部がんの発症リスクを大幅に高める物質は、タバコとアルコールです1。世界中で、2020年には93万人以上が新たに頭頸部がんと診断され、46万5千人以上が死亡したと推定されています2。米国では、2023年に6万6千人が、新たに頭頸部がんと診断され、1万5千人以上が死亡すると推定されています3

 

「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について

 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能なエーザイ創製のマルチキナーゼ阻害剤です。

 非臨床研究モデルにおいて、「レンビマ」は、がん微小環境における免疫抑制因子として知られている腫瘍関連マクロファージの割合を減少させ、インターフェロンガンマ(IFN-γ)シグナル伝達刺激により活性化細胞傷害性T細胞の割合を増加させることで、抗PD-1モノクローナル抗体併用時は、「レンビマ」および抗PD-1モノクローナル抗体のそれぞれの単剤療法を上回る抗腫瘍活性を示しました。「レンビマ」が取得している適応は以下のとおりです。

 

甲状腺がん

・ 単剤療法の適応(日本、米国、欧州、中国、アジアなど80カ国以上で承認を取得)

日本:根治切除不能な甲状腺癌

米国:局所再発、転移性、または進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん

欧州:成人での放射性ヨウ素治療抵抗性の進行性又は再発の分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん)

 

肝細胞がん

・ 単剤療法の適応(日本、米国、欧州、中国、アジアなど80カ国以上で承認を取得)

日本:切除不能な肝細胞癌

米国:切除不能な肝細胞がんに対する一次治療

欧州:進行性または切除不能な肝細胞がんの成人患者に対する一次治療

 

胸腺がん

・ 単剤療法の適応(日本で承認を取得)

日本:切除不能な胸腺癌

 

腎細胞がん(欧州では、「Kisplyx®」の製品名で発売)

・ エベロリムスとの併用療法の適応(米国、欧州、アジアなど65カ国以上で承認を取得)

米国:1レジメンの血管新生阻害薬の前治療歴を有する成人での進行性腎細胞がん

欧州:1レジメンの血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とした薬剤の前治療歴を有する成人での進行性

・ 「キイトルーダ」との併用療法の適応(日本、米国、欧州、アジアなど45カ国以上で承認を取得)

日本:根治切除不能又は転移性の腎細胞癌

米国:成人の進行性腎細胞がんに対する一次治療

欧州:成人の進行性腎細胞がんに対する一次治療

 

子宮内膜がん

・ 「キイトルーダ」との併用療法の適応(日本、米国、欧州、アジアなど50カ国以上で承認を取得、一部の条件付き承認の国を含む)

日本:がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌

米国:治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応であり、FDAが承認した検査法により判定されたミスマッチ修復機能(mismatch repair proficient: pMMR)を有する、または高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability-high: MSI-H)を有さない進行性子宮内膜がん

欧州:治療ラインに関わらず、プラチナ製剤を含む前治療中またはその後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な成人の進行性または再発性子宮内膜がん

 

 

「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)について

 「キイトルーダ」は、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗PD-1抗体です。「キイトルーダ」はPD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化するヒト化モノクローナル抗体です。Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは業界最大のがん免疫療法臨床研究プログラムを行っており、現在1,600を超える「キイトルーダ」の臨床試験を実施し、幅広い種類のがんや治療セッティングを検討しています。「キイトルーダ」の臨床プログラムでは、さまざまながんにおける「キイトルーダ」の役割や、「キイトルーダ」による治療効果が得られる可能性を予測する因子について模索しており、さまざまなバイオマーカーの模索も行っています。

 

エーザイとMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる戦略的提携について

 2018年3月に、エーザイとMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、「レンビマ」のグローバルな共同開発および共同販促を行う戦略的提携に合意しました。本合意に基づき、両社は、「レンビマ」について、単剤療法およびMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの抗PD-1抗体「キイトルーダ」の併用療法における共同開発、共同製造、共同販促を行います。

 既に実施している併用試験に加え、両社は新たにLEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを開始しました。これにより、「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法は様々ながん種における複数の臨床試験が進行中です。

 

エーザイのがん領域の取り組みについて

 エーザイは、「がん領域」を戦略的重要領域の一つとし、Deep Human Biology Learning創薬体制のもと、ヒューマン・バイオロジーに基づき、「微小環境」「タンパク質恒常性破綻」「細胞系譜や細胞分化」「細胞老化を伴う炎症、低酸素、酸化ストレス」などの創薬領域(ドメイン)における抗がん剤の研究開発にフォーカスしています。これらのドメインから新たな標的や作用機序を有する革新的新薬を創出し、がんの治癒の実現に向けて貢献することをめざしています。

 

エーザイについて

 エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。

 エーザイ株式会社の詳細情報は、www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントTwitterLinkedInFacebookでも情報公開しています。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAのがん領域における取り組み

 Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAでは、画期的な科学を革新的ながん治療薬に変換して世界中のがん患者さんを助けることに取り組んでいます。当社のオンコロジー事業にとって、がんと闘う人々を助けることは私たちの情熱であり、がん治療薬へアクセスしやすくすることは私たちの責任です。また、がん領域における取り組みの一環として、医薬品業界で一二を争う急成長を遂げている開発プログラムにより、30種類以上のがんに対するがん免疫療法の可能性を模索しています。また、引き続き戦略的買収を通じて、がんのポートフォリオを強化し、進行がんの治療を改善する可能性をもつ有望ながん治療薬候補の開発を最優先に進めています。当社のオンコロジー臨床試験について詳しくは、当社ウェブサイトをご覧ください。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAについて

 Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外の国と地域ではMSD)は、130年以上にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。当社はまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けており、世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。詳細については当社ウェブサイトやMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAのTwitterFacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

 

Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの将来に関する記述

 このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

 リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、最近の新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的蔓延、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

 Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ., USAに関するForm 10-Kの2021年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。

 

1  Cancer Net. website, “introduction.” Head and Neck Cancer.

https://www.cancer.net/cancer-types/head-and-neck-cancer/introduction .

2 International Agency for Research on Cancer, World Health Organization. Cancer Today, 2020.

Cancer Today (iarc.fr) .

3 Cancer Net. Website, “statistics.” Head and Neck Cancer.

https://www.cancer.net/cancer-types/head-and-neck-cancer/statistics .

  




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