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はじめに
長谷川さんへのインタビューは今回で3回目となります。2023年の今回はどのようなお話をしていただけるでしょうか。インタビュアーはがん情報サイト「オンコロ」コンテンツ・マネジャーの柳澤が、前編と後編の二部に分けて担当します。
※本記事の後編はコチラ ※10月27日(金)に公開いたします。
『患者団体に聞く! NPO法人肺がん患者会ワンステップ 長谷川一男さん 「奇跡」を「軌跡」に! 【後編】』
※2015年実施のインタビュー記事はコチラ
※2019年実施のインタビュー記事はコチラ
ステージ4の肺がんと診断されて13年
柳澤:長谷川さんに初めてお会いしてから、もう7-8年近くなりますね。取材を始めるにあたって、改めて自己紹介をお願いします。
長谷川:2010年39歳の時にステージ4と診断されました。病名は非小細胞肺がん。遺伝子変異はありません。診断から13年が経ちました。肺がんと診断後、外科治療、放射線治療、化学療法(薬物療法)、可能な治療は全てやってきた感じです。個人的なことですが、好きな芸能人はトムクルーズ。学生時代にはプロレス同好会で、リングネームは「長谷川さくえもん」です。リングネームを持っている人は少ないので、ちょいちょい自慢するのですが、羨ましがってくれる人はごく少数で、非常に遺憾です(笑)
患者会設立は社会にとって、自分にとってもワンステップ
柳澤:長谷川さんは、肺がん患者の会ワンステップ(以下、ワンステップ)の理事長をされていますが、立ち上げの経緯を教えてくれますか?
長谷川:罹患してから5年くらいたった時、「自分の経験を役立てたい」「もし今自分の知識を、診断間もない時期に持っていたら全然違っていただろうな」と思ったんです。自分の肺がん治療の経験や体験は、きっと肺がんに罹った自分以外にも役に立つのではと考えました。また、そういった情報を共有しあえる場も作りたいと思ったんです。
ワンステップが発足する以前は、肺がんの患者会はあるにはあったが、継続できていない状況でした。それは、肺がんの死亡率は高く、難治性のがんだったからです。
しかし、ワンステップの発足と時を同じくし、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などの登場によって、肺がんの予後も著しく改善していました。その頃には、全国各地で、肺がんに特化した患者会が増えてきました。
現在では、肺がんに特化した患者会は16団体に及び、これらの肺がん患者会がつながる日本肺がん患者連絡会も立ち上がりました。一つ一つの患者会では、小さな力かもしれませんが、これらが連携し声をあげることで、大きな力になるのではと考えました。
実際に、これまで患者会としても、連絡会としても、新薬、適応症の早期承認などについて、国に要望書を提出するといったことにも取り組んできました。
柳澤:以前聞いたお話で、ワンステップを立ち上げた理由として「長谷川さん自身のためでもある」という言葉が印象残っています。そうお話しされた理由について教えてください。
長谷川:当時の自分が言っていた「自分のため」というのには2つの理由があると思います。
1つ目は、当時の自分は全ての治療法をやりつくしていました。命の代償として右肺も切除していました。もう、自分には、他に差し出せるものがなかった状況です。そのような状況であったため、患者会を立ち上げ、その場に身を置けば、新しい治療の情報、有益な情報もが入るのではないかと思ったのだと思います。
2つ目には、今話した通り、当時は、もう何も太刀打ちできない状況、もう終わりだなという瞬間に近かったと感じていました。
この状況は、最初にお伝えした「肺がんと罹患された人のため、ひいては社会のために患者会を立ち上げた」と矛盾しているように思われるかもしれません。
しかし、今思うと、当時の私は、その困難な状況でも、「自分がどう生きるか?」。何か、突破口を見つけたかったのだと思います。そして、当時の僕にできるのは患者会を立ち上げることでした。それしかなかった。一歩前に進めるのかもわかりませんでした。でも一歩前に進まなければ変わらないとも思っていました。
柳澤:様々な活動は、後になって社会のためになったということはたくさんあります。しかし、多くは自身のために始めたことの延長線上に公益性が生まれることがありますね。こういったことをお話し頂けるのも長谷川さんの大きな魅力ですね。
居場作り・情報提供・患者参画:3つの患者会の役割
柳澤:このような活動を通じ、今や、多くの肺がん患者さんにも知られることとなってワンステップ。これからのビジョンについて教えてください。
長谷川:ビジョンは、「生きる勇気を支えること」です。
ワンステップにはステージ4の患者さんが8~9割占めています。そういった人たちは、罹患をきっかけに、命に限りがあることを教えてもらった人たちだと思っています。
私たちが活動をするなかで生み出してきたのは、生きる勇気。限りある命の中で、前を向いて歩いていくためには勇気が必要です。「生きる勇気」を持てるように活動しています。
柳澤:新たに肺がん(がん)に罹患された方は、患者会についてよくご存じない方もおられます。その役割について教えて貰えますか?
長谷川:患者会活動の役割には、大きく3つあると思っています。
1つ目は、居場所づくりです。これ以上になく辛い時、「こういった治療法があるよ」、「頑張れ!」といった励ましなどはどうでもよいと感じてしまうことがあります。役に立つのは、ただ横にいるだけ。これが、他の人ができる唯一効果的なことなのではと思っています。そして、同じ痛みを経験した患者さんがただ横にいて「辛いね」と言ってくれる。それが大事なのではと感じています。
2つ目は、情報提供。特に、肺がんの分野では新薬がどんどん開発されており、最新の情報を得ることは大変重要です。治療法(検査法)を選ぶメリット・デメリット(リスク)は、自身の病状、刻々と更新されていく治療方法によって変わっていきます。肺がんに罹患してすぐには、そういったことはよくわからないことも多く、そんな患者さんが、意思決定ができる根拠となりえる情報を提供しています。
3つ目は、医療や社会に対して働きかける役割です。これはアドボカシー(アドボカシーとは、社会的弱者やマイノリティの権利やニーズを擁護や代弁すること)やPPI(Patient and Public Involvement:患者・市民参画)と言われているもので、患者が物事の決定プロセスに参加することで、患者の意見を医療制度などに反映させていくことなどの取り組みです。これは、患者にとっても、患者会にとっても、社会にとっても良いものとなり、とても重要な活動の一つと考えています。
具体的な事例として、新薬、適応症の早期承認などがあり、これまで学会と連名で、要望書を提出するなどの実績もあります。
※日本肺がん患者連絡会から発出した各種要望書一覧。大半は日本肺癌学会と連名で提出。
詳しくはコチラ
後編はコチラ
『患者団体に聞く! NPO法人肺がん患者会ワンステップ 長谷川一男さん 「奇跡」を「軌跡」に! 【後編】』
※10月27日(金)に公開いたします。
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