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<40代のがん~悪性リンパ腫と告げられて>番外編

悪性リンパ腫の闘病体験をつづった東京新聞政治部の我那覇がなは圭記者(43)の連載「40代のがん」の最終回では、がん患者らの相談などに無料で応じる「マギーズ東京」(東京都江東区)の鈴木美穂・共同代表理事(40)に「寛解かんかい後」の生き方を聞きました。鈴木さんは24歳で乳がんにかかりましたが、克服。再発の不安を感じさせないぐらい、精力的に支援活動を続けています。紙面で紹介できなかったやりとりを紹介します。

 マギーズ東京 1996年に英国でできた「マギーズセンター」が起源。鈴木さんらがクラウドファンディングだけで2000万円以上の資金を集め、東京都江東区の東京湾を望む一角に平屋の施設2棟を建てた。「居心地のいい第2のわが家」を目指し、がんに詳しい看護師や臨床心理士らが常駐。不安や孤独を抱えがちな患者からのさまざまな相談に無料で応じている。主に寄付金で運営しており、家族や友人らがんに影響を受ける人は誰でも利用できる。

◆再発の不安に加え、キャリアの立て直し、結婚出産も…

我那覇 私は治療のかいあって完全寛解しましたが、再発は気がかりだし、キャリアの立て直しにも頭を悩ませています。

マギーズ東京・鈴木さんの話を聞く東京新聞政治部の我那覇圭記者

鈴木 私も再発やキャリアだけでなく、結婚と出産ができるかが大きな悩みでした。再発や転移については、寛解後も、定期的な検診を受ける前はいつも怖かったです。でも、時間がたつほど気持ちは和らいだし、少しずつ自信もついていきました。

我那覇 身体的な回復に精神的な回復が追い付いていない気がするんですよね。

鈴木 私も「死んだらどうしよう」と考え、治療後もよく眠れず、仕事に復帰してからも睡眠導入剤を飲んだりしていました。がんに伴う心理的な負担は治療中だけではありません。マギーズも、治療後に利用する方がたくさんいらっしゃいます。がんが見つかった時点からの「緩和ケア」や、がんなどの病気に詳しい精神科医がいる「精神腫瘍科」も広がってきたので、必要に応じて薬を処方してもらうなどケアは大切だと思います。

◆「一生笑える気がしない」と思っていたけど

我那覇 他にも対応法はありますか。

マギーズ東京の鈴木美穂共同代表理事

鈴木 私は当時、「一生笑える気がしない」と思っていました(笑)。だから、がんを経験された方を探して「この不安とどうやって向き合っていけばいいんですか」と聞いて回りましたね。頼れる人を頼り、話を聞いてもらえる人に聞いてもらい、とにかく心境を吐き出すこと。患者会もあるし、私の闘病時になかったマギーズもできました。どんどん利用してほしいです。再発や転移後も、その人らしく生きている人は多くいらっしゃいます。

我那覇 著書などでは、寛解後の人生を「ボーナスのような贈り物」と表現されていますよね。

鈴木 乳がんにかかり、20代で終わっていたかもしれない人生を今でも過ごせていること自体が奇跡だと感じます。だから1日1日が尊く感じられるし、何かを怖がったり、挑戦しないでうじうじしたりしている暇はないな、と。私も常にポジティブに考え、アクティブでいられるわけではないんですけど(笑)。

◆テレビ局退社後に得た、私の幸せ

我那覇 マギーズの開設も「挑戦」の一つだったんでしょうか。

がん患者らの支援施設「マギーズ東京」

鈴木 もともとテレビ局に勤めていましたが、がんにかかったことで、「がんにまつわる課題を解決できる人になりたい」と思うようになりました。私は先が見えない不安の中、「元気になれたら、今の私のようにつらい思いをしている人たちのためになりたい」と思いました。当時の気持ちを忘れず、やれることをやってきた先にマギーズが見つかったという感じです。

我那覇 せっかく入社した民放キー局をやめるというのは重い決断のような気がします。

鈴木 テレビ局でやれることはたくさんありましたが、直接「ありがとう」と言われる機会はマギーズの方が圧倒的に多かったんです。私の幸せとは何かを考えた時、大切な人と夢をかなえること、人に必要とされたり、感謝されたりすることだった。2018年に結婚し、長年の夢だった世界一周旅行にも行けました。テレビ局勤務では、難しかったと思います。

我那覇 鈴木さんとは2016年ごろに取材先で知り合いましたが、常に輝いて見えます。今後の目標も教えてもらえますか。

東京新聞政治部の我那覇圭記者(左)とマギーズ東京の鈴木美穂共同代表理事

鈴木 つい先日、誕生日だったんですが、30代にはもう戻れないことを考えると、すごく怖くなったんです。「まだ人生に迷っているのに40代を迎えちゃう」と。でも、残りの人生の中では「今」が一番若いので、歩みを止めずにやりたいことをむしろ加速してやっていきたい。いろいろ検討していますが、社会にいいインパクトを与えられる仕事をしたいですね。

 鈴木美穂(すずき みほ) 1983年10月、東京都生まれ。慶応大卒業後、日本テレビに入社。社会部や政治部の記者、「情報ライブミヤネ屋」キャスターなどを務める。2016年にマギーズ東京を仲間と開設し、共同代表理事に就く。18年に日本テレビを退社。厚生労働省の「がんとの共生のあり方に関する有識者会議」の委員などを歴任。自身の闘病体験を撮影したドキュメンタリー「Cancer Gift~がんって、不幸ですか?」で日本医学ジャーナリスト協会賞2017映像部門優秀賞を受賞。著書に「もしすべてのことに意味があるなら」など。

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<連載:40代のがん~悪性リンパ腫と告げられて>
記者(43)は、働き盛りの40代で血液がんの悪性リンパ腫と診断されました。この間、より過酷な病状と向き合いながらも、他の患者のために体験を語る仲間たちに出会い、勇気づけられました。自ら直面した課題や思いも誰かの参考になればとつづります。



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