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緩和ケア病棟においても、新型コロナウイルス感染リスク低減のために「面会制限」などを行っているが、人生の最期に家族等と充実した時間を過ごすことが極めて重要であり、「オンラインによる面会」などの体制を組織的に取り組む必要がある。これは平時においても患者・家族双方の負担軽減につながる―。

▼⽇本緩和医療学会(COVID-19関連特別ワーキンググループ)▼⽇本ホスピス緩和ケア協会▼国⽴がん研究センター(がん対策情報センターがん医療⽀援部)―が先ごろ、「新型コロナウイルス感染症に対する対応に関するアンケート」速報を公表するとともに、このような提言を行いました(緩和医療学会のサイトはこちら)。

新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言は全都道府県で解除されていますが、一部地域でクラスター(集団感染)が発生し、東京都や北海道などでは依然として新規患者数が一定数おり、また日本国内居住者の抗体保有率は0.03-0.17%にとどまっているなど、第2波・第3波への備え(感染拡大防止、医療提供体制確保など)が重要であることに変わりはありません。

そうした中で、▼⽇本緩和医療学会(COVID-19関連特別ワーキンググループ)▼⽇本ホスピス緩和ケア協会▼国⽴がん研究センター(がん対策情報センターがん医療⽀援部)―は、新型コロナウイルス感染症によって緩和ケア医療がどのような影響を受けているのかを調査しました。

調査には、▼⼤学病院:84施設▼がん専⾨病院:24施設▼これら以外の400床以上病院:226施設▼同400床未満の病院:258施設▼診療所:6施設―の合計598施設が協力しています。このうち、ホスピス・緩和ケア病棟(PCU)のみを持つ施設は109(回答施設の18.2%)、緩和ケアチーム(PCT)のみを持つ施設は303(同50.7%)、PCUとPCTの双方を持つ施設は186(同31.1%)という構成です。

まず新型コロナウイルス感染症の流行による緩和ケア病棟への影響を見ると、45.4%では「変化なし」としていますが、半数超の56.7%は「変化があった」と回答しています。さらに7.5%の施設では、緩和ケア病棟が「新型コロナウイルス感染症患者専用病棟」に転換しており、影響の大きさが伺えます。

一部の緩和ケア病棟は、新型コロナ患者専用病棟に転換となった(日本緩和医療学会等1 200525)

また緩和ケア病棟の98.0%では、「面会制限」が行われています。がん患者等では、新型コロナウイルス感染により「重症化するリスクが高い」ことが従前より知られており、面会による感染リスクを低減するためのやむを得ない措置と言えます。

さらに、患者の「予測される予後」と「面会制限」との関係を見ると、死亡までの期間・時間が短いと思われる患者ほど、制限を緩くしている状況が伺えました。感染リスクの低減は医療施設にとって極めて重要な命題ですが、死期の迫った緩和ケア病棟入所者にとっては「人生の最終段階を、家族等とともに過ごし、充実した時間とする」ことも非常に重要なテーマであり、各施設で様々な検討・工夫がなされているものと推察されます。

患者の予後が短いほど、面会制限の度合いは緩やかとなる(日本緩和医療学会等2 200525)

工夫の1つとして「直接の面会以外のコミュニケーションを支援する」ことが行われています。具体的には「オンラインによる面会」を促進するもので、例えば、▼テレビ電話などでのコミュニケーション⽀援(55%の施設で実施)▼無線インターネット使用可能な環境の整備(15%の施設で実施)▼病棟内に使⽤できるPCやタブレットの配置(6%の施設で実施)―などが行われています。一方、3割の施設ではこうした工夫にまで手が回っていない実態もあります。

「新型コロナウイルス感染リスクの低減」と「人生の最期の充実」とを両立する手段として、オンラインによる面会は非常に魅力的です。

今後、新型コロナウイルスの第2波、第3波到来に備え、▼⽇本緩和医療学会▼⽇本ホスピス緩和ケア協会▼国⽴がん研究センター―では「Webを⽤いての⼊院⼊棟⾯談」(オンラインによる面会)の仕組みを整備する必要性を指摘します。あわせて、平時においても「直接の来院による面会が、患者・家族の大きな負担になっている」ことも指摘しており、組織的な体制整備を検討することが重要と考えられます。なお、介護施設等においても「オンラインによる面会」が推奨されています。

次に、緩和ケアチームの活動状況を見ると、▼減少:41.9%▼変化なし:48.8%▼増加:7.6%―となっています。

また緩和ケアチームによるカンファレンスについては、▼対面:46.5%▼対面以外(Web会議システムなどの活用):9.6%▼中止:21.1%▼その他(人数の削減や時間短縮など):22.8%―という状況です。

さらに、緩和ケアチームによる院内ラウンドにおいては、▼できる限り患者に会わずにスタッフやカルテからの情報をもとにコンサルテーション活動を⾏う:15.2%▼原則として全患者のラウンドをするが、発熱や咳嗽のある患者にはできるだけ直接会わないようにする:19.1%▼⼈数を減らして⾏うように⼯夫:37.0%▼通常と変わらず:28.7%―などとなりました。

このように、緩和ケアの実施方法等については、施設によって対応が異なっていることが分かります。施設によってマンパワーや患者構成などが異なることから一律の対応を求めることは実際的ではなく、施設ごとに「自施設の状況を踏まえた工夫」を行うことが重要でしょう。この点、⽇本緩和医療学会▼⽇本ホスピス緩和ケア協会▼国⽴がん研究センター―では、「緩和ケアチームは病棟横断的に動くため、チームの編成⽅法、ラウンド⽅法、カンファレンスの持ち⽅について、さらなる⼯夫が求められる」とコメントしています。

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